経営の現場から -社内コンサル奮闘記-

中小企業は泥縄経営だ。

コンサルタントには見えない現場事情。企業の内側からの生々しい実態報告。中小企業の経営の現場から経営戦略もクソもない現場の現実をお届けします。経営コンサルタントにも決して理解できない現場管理層の本音の叫びをお届けします。

① 中小企業の経営は泥縄だ!

日本の企業420万社のうちの内、ざっくり中小企業は410万社97.6%、ほとんどがどうにかこうにか食いつないでいる寄せ集めの貧乏所帯なのである。

中小企業の経営と言うものはたとえ事業計画があったとしても出たとこ勝負、モグラたたきのように一つ問題を押さえ込めば別の問題が発生する。

時には3つも4つも難題が降りかかる。期首に立てた事業計画の進捗確認どころではない、その日暮の暮らしの、場当たり対処が日常である。

その日その日をやっとの思いで凌いでいると一週間が終わり、ひと月が終わり、気がつくと一年が終わっている。反省する間もなく新しい期がスタートする。

中小企業の経営は掴まってもつかまってもずるずると滑り落ちて、決して登り切ることができない泥縄なのである。つかむ手は血と泥にまみれて、痛みすら忘れてしまう難問山積、中小企業の経営はまさに泥縄だ。

② 理屈じゃない!経営戦略クソ食らえ!

コンサルタントがすすめる経営戦略はあまたある。理屈通りに経営できれば社長はいらないし経営コンサルタントは会社経営をして大もうけが出来るはずだ。

自分で経営する才覚と度胸がないからコンサルタントをしているのだ。とは言え中小企業といえども進むべき方向、到達すべき目標を持たなくてはいけない。

経営の指針として経営者が示す方向性としての経営目標は必要である。

経営戦略とは格好だけの言葉だ。きれいごとを並べずに率直な目標、社員に理解され腑に落ちる目標を掲げよ。

③ ぬるま湯を沸騰させろ!

経営はぬるま湯だ、気がつけば茹でガエルになっている。

ぬるま湯は自力で沸騰させろ。なれ合い会議は時間の無駄だ。熱く議論をふっかけろ。

人は追い込まなければ育たない。ぬるま湯を沸騰させなければ知恵がわかないし行動が起こらない。

人間誰しも前向きになるには刺激が必要なのだ。温厚で冷静なだけでは中小企業のリーダーはできない。

時には激しく、時には熱く切り込まなければ人は熱くならないし大きく育たない。

ぬるま湯を感じたら率先して沸騰させろ、熱さに耐えきれず飛び出してくると組織は動き出す。

④ 正直者が馬鹿をみる、経営はずるく立ち回れ!

正直な経営者は中小企業には向かない。

最低限必要なことでもギリギリまで引き伸ばし、コストを先送りするのが要諦だ。

支払いは約束通りにしないといけないが、それ以外の“したほうがよいこと”は本当に必要になるまでしないこと。

中小企業はグレーゾーンでどれだけうまく立ち回るかである。

時にはずるく小賢しく、正直者はこの際返上して実入りを考えることが肝要だ。

⑤ 中途採用は時間の節約、採用は人柄だ!

中小企業は新卒を育てている時間がない。採用するなら癖があっても即戦力が時間の節約になる。

中途採用者は育てる手間は省けるが社風になじませる手間は必要だ。

社風になじむ人材は人柄で見分ける。

人柄がよければ中途採用でも社風になじみやすい。中小企業の採用は即戦力の中途採用、人柄で見分けることだ!

⑥ 中小企業は秘密主義がベスト!

中小企業は安易に情報を公開してはならない。

秘密主義を基本にすべきだ。ステークホルダーには必要最小限の情報しか公開しないこと。

人事制度の考課情報や財務情報を社員に知らしめないこと。何事も教えなければ気がつかない。

体裁を気にして格好をつけないこと。情報というものは公開すればリスクを負うことになることを認識すべきだ。

コンサルタントや幹部の言い分を真に受けてオープンな経営をするならそれだけのリスクを覚悟する、社員が従うカリスマを備えてからだ。