中小企業は情報を私物化している。

《情報システム》中小企業は情報を私物化している。ファイルサーバの活用法。

ファイルサーバによる共有フォルダ管理により共有情報の集約化、個人別情報の減量化をすすめペーパレス・フリーデスク化を目指して構造と意識変革を進めていく必要がある。

企業の情報管理を突き詰めれば行きつく先は同じである。

フリーデスク化はフリーアドレスとも呼ばれ情報管理の進んだ大手企業などで導入されている仕組みである。

オフィスに固定席を設けないことで社員間のコミュニケーションを活性化したり、コスト削減につなげたりするのが目的である。

実際は完全ペーパーレス化によって執務スペースが縮小できたり、コスト削減が進んだりする効果もある。

 

心配しないでいただきたいが中小企業が今すぐフリーデスクにせよと申し上げているのではない。

共通文書管理を目指すならば、もう少し共有フォルダの管理レベルを上げていただきたいということをおすすめする。

共有フォルダを機能的に管理するにはルールと管理者が必要でありフォルダの管理台帳が必要になる。共有の資料室であり図書館と同じように考えればよくわかるであろう。

企業内文書は個人に属するものは概ね少ないと申し上げてよいと思う。中小企業では共通すべき情報や共有文書を我知らず私物化しているのである。ここに非効率の要因がある。

多くの中小企業のファイルサーバの中の共有フォルダはさながら迷路のようであり勝手放題の無法地帯のようである。

必要なドキュメントにたどり着くには多大の手間を要するのが実情である。

図書館の様に管理する人がいてきちんとした案内図があり勝手に移動したり落書き出来ないように管理すべきであり、不要なデータを削除したりバックアップしたりを定期的(せめて月1回)に行うなど保守管理を徹底することが必要である。

中小企業はファイル管理の仕組みを構築し順次案内をかけていくことが必要ではないだろうか。

理解されるのには時間がかかるが、正しく運用させるにはさらに多くの時間がかかることは言うに及ばない。中小企業の情報システムはまだまだ不合理の集積なのである。

メール管理に関する注意事項

《情報システム》メール管理に関する注意事項


参考:ネチケット・ガイドライン
PHP人材開発、平野友明(日本ビジネスメール協会代表理事)

ビジネスメールの書式とマナー/メールの基本操作

[メールマナー]

・関係者から受信したメールにはまず返信する。(受信した旨を伝える)
・メール本文は30文字以内に抑えコンパクトにまとめる。
・適度に行間を空ける。(話の変わり目)開けすぎない。詰めすぎない。
・サブジェクト(タイトル)は必ず付ける。(空メールは失礼)
・1メール1要件を守る。
・箇条書き、記号、罫線等で見やすくする。
・メールの最後には自分のシグネ(署名)を付ける。
・相手に配慮した文言を使用する。(ありがとうございます。お忙しいとは思いますがetc.)
・文面の最初に自分を名乗る。
・送信前に読み直す、送信アドレスの再確認をする。
・アドレス帳では相手のアドレスに付す名前に様を付ける。
・送信者の許可なく第三者にメールを転送しない。
・返信は基本的に送信者のみに返信する。
・半角カタカナ「カタカナ」、機種依存文字「①㈱」等は使用しない。
・開封確認メッセージ機能は使わない。

[ネットワークセキュリティー]

・安全性が確認できないメールの添付ファイルをクリックしない。(即削除、ゴミ箱からも削除)
・HTML形式、リッチテキスト形式の設定をテキスト形式に。(情報セキュリティーポリシーに規定)
・知らないメール(迷惑メール)に返信しない。
・社外秘等の重要文書を添付するときはパスワードを設定し別メールでパスワードを送る。
・基幹文書、機密文書は漏えいの危険があるのでメール送信は避ける。もしくは暗号化する。

[情報管理]

・メールは決して確実な通信手段ではないことを理解し、届いていないことも想定する。
・同報メールやメーリングリストに添付ファイルをつけない。
・巨大な添付ファイル(メガクラス)の添付ファイルはデータ便や共有フォルダを使用する。
・どうしても巨大な添付ファイルメールで送る場合は相手先に事前に連絡する。
・CCメールは情報漏えいにつながるので不特定多数に送らないよう注意する。
・メールサーバは有限、転送先の個人サーバはさらに制限がある。引用は最小限にする。

追記(2020/5/10):メールマナーは様変わりしています。outlookのデフォルトで全文引用が習慣化し、過去の何人分ものメールが連なり責任所在が不明確になるパターンが定着しました。また、何でもかんでもCCメールにするため、想定外の転送をされて窮することもあります。HTMLメールのリスクは問題になる可能性が低くなりましたが、相手の環境を無視してHTMLメールで赤字指定するような間の抜けたメールも散見されます。メールは本来私信でありパーソナルなものだと思っていると痛い目に合うことがありますから用心が必要になりました。

食品製造業はクレームに敏感になれ!

《製造》食品製造業はクレームに敏感になれ!

気温が上がり虫等の異物混入や腐敗変敗などのクレームが多発する時期である。

製造においてクレームと食品事故を区別できていない企業多いが、その対応は全く異なるので意識的な区別が必要である。

概ねクレームとは大なり小なり食品事故である。近年食品事故は大事故化しこれまではお詫びで済んだことが大事となり回収事故に発展するケースも少なくない。

よって営業を含め管理者はPL保険の基本的な知識を押さえておく必要がある。

PL保険とは生産物賠償責任保険と呼ばれ第三者に引き渡した物や製品に起因して賠償責任を負担した場合の損害を、身体障害または財物損壊が生じることを条件としてカバーする賠償責任保険である。

ポイントは補償の対象とするには直接損害が必要であり 財物損壊を伴わない使用不能損害は対象外であるということである。

食品業界に限定してもっとわかりやすく言うと「食中毒保険」ということになる。異物や腐敗が問題ではなく対人保障として食中毒などのために治療や入院費用が発生し損害賠償を求められた場合に保険適用になるということである。

第三者の身体障害、対象生産物・製品の財物損壊のいずれも伴わない損害は対象にならないということが原則である。

多くの中小企業は中小企業PL保険制度に加入している。

PL保険としては対人対物1億円、リコール特約を付加しており3千万円を加入していたとしても、リコール特約は微妙な判断を含んでおり生産物の自然の消耗または性質による蒸れ・カビ・腐敗等は対象外となるが、賞味期限の誤表示はリコールの対象となる場合があるという言い方になる。

リコールには厳しい条件が付いており行政庁に対する文書による届け出、リコール実施についての行政庁の回収命令、新聞等の公共媒体による社告が条件になる。

すなわち得意先から言われて行う私的な回収は条件的に保険の対象としては無理があるということである。

食品事故の発生やリコールの恐れがあるときは保険会社に連絡することが条件であり遅滞なく報告する必要がある。また時系列での記録、証拠写真等の資料も必要になるので、気を付けていただきたいところである。

営業は粗利管理をすべきである。

《営業》 営業は粗利管理をすべきである。

当社はこれまで営業に粗利管理を求めてこなかった。それは総合原価計算を採用しているため製品別の売価は本社側で決定されており粗利は営業には管理できない状況であったからである。

営業は売上のみを追求すればよい仕組みである。

製品別原価計算は、これを個別原価計算総合原価計算とに分けることができる。

個別原価計算とは建設業や印刷業の様に受注単位ごとに見積原価計算をし売価設定を行う業種であるが、製品メーカーは総合原価計算を採用しており、1原価計算期間における製品のすべての原価を算定し、次にこれを製品ごとに分割してその原価を計算する方法をいう。

同種製品を反復継続的に生産する場合は、この原価計算方法により製品原価を計算する。総合原価計算の企業の場合、営業に粗利管理が根付かない傾向がある。

これが原料価格等の変動による価格改定が遅れる要因の一つとなったと考えている。

粗利管理は大まかに「事前」と「事後」の粗利統制の二つに分類出来る。「事前」の粗利統制とは、事業計画・予算と連動して事前に製品別・得意先別等に粗利予算を決めておくことである。

営業担当者の行動原理としては、契約を取れるように(売上予算達成のため)できるだけ他社に負けないような低価格の見積りを出そうとする(機会利益の喪失)。

それを防ぐために売上高だけではなく営業担当者別の粗利管理も必要である。

ただ、端的に粗利管理と言っても営業の管理者が「最低で20パーセントの粗利は取るように」と営業担当者に単純に指示すれば、営業担当者の行動原理としては売上高予算達成のために20パーセントというハードルに極めて近い粗利を設定し、その結果として本来得られたはずの粗利が失われることもよくある。

従って営業会議等ではきめ細かな製品別等の粗利の目標設定を指示をすることで「機会利益の獲得」を目指す必要がある。

一方、「事後」の粗利統制とは(製品別・得意先別等の)事前の粗利統制の結果を売上・粗利等の損益データを中心に分析し、その後の営業活動にフィードバックすることが必要である。

重要なことは、営業担当者別に粗利の分析をして達成状況を確認することである。評価基準として売上高だけではなく粗利にも重点を置き評価の両輪とすることが会社の方針である。