営業の売上と粗利は営業管理の両輪である。

《営業》営業の売上と粗利は営業管理の両輪である。

各社とも来期の予算が組みあがったと聞く。達成可能な実態に見合った数字であろうか。絵に描いた餅ではあるまいか。今後それぞれに詳細を詰めていくことになると思うが、営業の経験上いくつかのポイントを指摘させていただく。

まず売上と粗利の予算を営業管理の両輪として管理することである。

多くの会社で見てくるところ、これまで粗利は結果分析、後手の価格改定であった。したがって日常的な粗利管理が根付いておらず、営業が責任を感じることなく赤字アイテムが多数発生することとなった。

粗利で注意することは赤字アイテムもさることながら額が大きい低粗利物件である。

システム情報で昇順に並べると赤字ばかりが目立って売上の大きいてい粗利物件が隠れてしまう。見逃しがちな点であるがこれが全体の粗利を大きく引き下げる要因である。

今一つのポイントは

予算を実際の得意先にどの製品をいつまでに売り込むかを具体的に落とし込むことである。

実際 にその通りに行くわけがないのは生産計画と同じである。しかし販売計画を具体化することで訪問計画が具体化するという流れがある。

思い付きや得先に呼ばれてから訪問するのではなく、基本的なベースに訪問計画をもつことがABC分析でいうところの利益をもたらしてくれるBC顧客の定期的フォローにつながる。

粗利管理と予算の具体的落とし込みは、来期の予算達成のために必要な要件であると考えるべきである。

中小企業はNBとPBの区別ができない。

《情報システム》中小企業はNB製品とPB製品の線引きがあいまいで責任関係が見えない。

中小企業の製造業おいてはNB製品とPB製品の区別を明確にする必要がある。この区分が曖昧であるために発注責任、在庫・包装資材の管理責任が下請け企業に押し付けられ不公平な取引を強いて来た。

全国にうどん屋を展開する今や大手メーカーですら発注責任が明確であるにもかかわらず責任を取ろうとしない。下請法などどこ吹く風というのが現実の取引である。

システムにおいてもNB製品の特殊仕様があれば余計な原価が発生し、担当者の記憶任せというリスクが発生する。システム管理の原則として商品コードとそれに付随する規格は常にユニークでなければならない。大原則として自社製品で商品コードが一つあれば仕様は一つである。

それ以外の個別の仕様があれば顧客依頼のPB製品として区別して別の商品コードで管理するべきである。またPB製品であれば顧客指定の仕様であり品名であるので必要コストをオンした個別の品名であるべきである。

むろん固有記号も設定し製品も包装資材も顧客責任である。製造する側としては定期的な在庫報告義務は当然発生する。
よって特殊仕様がある場合はすべてPB製品として別途商品コードを設けて管理するということを徹底すべきである。開発においても顧客依頼のマッチングや商品開発はPB製品開発として扱うべきでありターゲット設定や要求事項は顧客の指定事項である。

NB製品の開発ではこれらの要求事項を営業または開発責任者が指定しなければならない。製品設計開発依頼書に記入する項目は大きく異なるので別途の書式が必要である。ここの理解を深めていただき未登録となっているPBを一掃しなければ個人の記憶やメモに依存した製造仕様となり組織硬直につながる。中小企業の融通性が首を絞める典型例と言えるであろう。

中小企業は製品すべてを見直し、現場に実態を把握し、すべての未登録となっているPBをシステムに新たに登録し区分管理できるよう営業も製造も協力して取り組むことが重要である。

稼働率に騙されると生産性を見失う。

《製造》稼働率に騙されると生産性を見失う。

製造部門の報告書では稼働率が記載されていることがある。これは稼働率を最大化して生産性を高めようという意図であろう。

しかしそもそも稼働率とは何であろうか、稼働率アップを目的にしてよいのであろうか。

稼働率とは単純に定式化するならば、設備リソースの実稼働時間を、利用可能な時間総数で割って求められる比率である。

 

稼働率で管理するとは、稼働率がいかに100%という限界に近づいているかで、工場のパフォーマンスを計る考え方である。

確かに機械設備の特性上、フル稼働に近ければ近いほどロスや不良率が下がり、生産効率が良くなるはずである。

しかしよく考えてみてほしい。もし同じ製品100個を2人の作業者が担当して、一人は1時間で首尾良く作り、他方は2時間かけて不手際に作った場合とで比べると、後者の方がその設備の稼働率が高くなるのだ。

しかし、誰がどう見ても、前者の方が優れている。かりに残りの1時間は遊んでいたとしても、である。

さらに、稼働率計算にはワナがある。見込み生産で動いている業種では工場がフル稼働して見かけ上は景気良く動いていても、実は製品在庫がどこか遠くの見えない倉庫に積み上がっていくだけという可能性がある。

会社全体では生産を売上につなげて初めて利潤が生じるのだから稼働率による管理は工場だけの局所最適化になる恐れが高い。

稼働率は受注量の従属的な判断数値であり生産性を管理するには工数管理が適している。

多く中小企業製造業としての問題を指摘すれば、大量・見込み生産の体制を残したまま、多品種少量の受注生産に移行しようとしていることにあると言えるだろう。

需要が収縮している時期では間違った評価尺度で生産組織を管理してはいけない。

稼働率管理にはそういう落とし穴もあるということを踏まえて報告書に記載する数値は実績工数管理の結果を報告するようにお願いしたい。

実績工数管理は製造部門の重要業績評価指標(KPI)であり手の内に入れていただきたい。

価格競争は安売り貧乏の始まり。

《営業》価格競争は安売り貧乏の始まり、知恵なき営業の行く末。

ソフトバンクの孫社長が言うように粗利以上に経費を使わなければ必ず利益が出ることは自明の理であるが、逆に言うと経費以上の粗利が得られなければ赤字になるということである。

ビジネスにおいて粗利が重要なのは、「粗利をどれだけ稼げるかということがビジネスそのものの能力を表すから」と言える。

しかし売上と粗利はトレードオフの関係にあり一般的な商品を差別化することをせずに大きな売上を得ようとすると粗利率はどんどん下がっていく。

値上げをしてより多くを売る方法とは、商品を差別化するという一点にある。

その違いを丁寧にお客様に伝えることが営業の仕事である。考えるポイントは下記に要約される。

・適正価格で販売するために、商品をどう差別化すれば良いのか?

・より多くを売るために、どのように販売戦略を組み立てるべきか?

価格提示には二つの機能がある

(1)買う側に価値を提示する。

(2)売る側に利益をもたらす 。

物の価格は需要と供給のバランスで決まる。大事なことは「商品やサービスを安く売りすぎるな」という事である。

価格設定に問題があり価格を安く設定し過ぎていると、悲しいかな売っても売っても儲からなことになる。世に言う「バタバタ貧乏」の状況を自らの手で作ってしまっていることになる。

安売りのデメリットも知っておかないと痛い目に遭う。

(1)利益が少なくなる。

(2)お客様の質が下がる。

(3)商品価値が下がる。

自社が価格を下げると同業他社も追随してくる。価格による差別化は差別化に非ず、なぜなら簡単だからである。

結局は価格競争に巻き込まれて自分の首がしまっていく。 安さでなびくタイプのお客様は、簡単に他社に浮気をする。

これはリピート客になりにくいという事を意味する。また商品価値が下がり価値が低い商品であるかのようにお客様の目には映る。

商品を高く売るには、機能、品質、付属サービス、イメージなどに個性を持たせて他社商品と差別化する必要があるが、その前に重要な事がある。

それは「良い商品なのだから高く売ろう」という想い(自信)である。売る側が商品やサービスの価値を正しく自己評価する事が最も大切なのことである。

知恵なき営業には安売り貧乏への道しかない。