《営業部》富の増殖機能は付加価値の増殖機能。
古い話であるが、20年以上前に書かれた著書でドラッガーは以下のように述べている。
「利益の最大化のみを目的化する企業は、短期的視点からのみマネジメントされるようになる。その結果、企業がもつ富の増殖機能は破壊されないまでも、大きく傷つく。結局は業績が悪化していく。しかもかなり速く悪化していく。」
ここでいう企業の「富の増殖機能」とは、「顧客にとっての真の価値は何かを探求し、製品やサービスに転換する力」「従業員の能力を最大限に引き出し、独創性のある製品・サービスを生む力」「顧客の高い満足感、信頼感、共感」などである。
本来、これらをとことん追求し、磨いた「結果」として、持続的な利益が生まれてくるは
ずである。
一方で、利益を第一義に管理をしてしまうと本当に独創的な価値を創出するために必要な手間ひま、社内での対話、顧客との対話、人材の育成といった必要な時間や投資まで削っ
てしまいやすくなる。
営業的には、強引な押し込み営業や値引き合戦も起こり結果的には顧客からの信頼残高を低下させるリスクがある。
結果、毎年利益をなんとか捻出していても、大きな発展ができない。新しい事業を創造する社風が育まれない。
「利益を上げることを目的としても、確かな利益はなかなか生まれない。」
ということに気づく必要がある。
仮に売り上げや 利益が上がったとしても、結果として顧客や社会からの評判は上がっていなかったり、人が離脱してしまったり。長期的に富を創出する価値が蓄積されない。
「我が社にしかできなくて、顧客にとってすごく価値の高いことは何なのか?」
という問いへ、会社全体で変えていくことで、「確かな利益」が生まれるのである。
いずれの会社にもまだまだ利益を生み出せる価値が眠っている。営業の粗利管理は重要であるが利益を生み出す付加価値の創出はそれ以上に今後の重要な ポイントとなるであろう。