《営業》自社の強みを活用し優位性を築く戦略
中小企業は毎期、期末近くなると着地点を予測し試算表を作成する。すると多くの企業では営業利益は残るかどうかというレベルである。
前期は実質営業利益が赤字となっており、今期赤字となれば、本業では2年連続赤字ということである。このような事態は財務基盤の弱い中小企業では、企業の存続において重要な事態として深刻に受け止めるべきである。
理由はいろいろあろう。
為替の変動をそのまま価格に転嫁できる程、値上がそれほど簡単なものだと考えている企業があるわけでもない。
しかしながら企業の財務状況は厳しく、非経常的な営業外収益は期待できないことがはっきりしている。
多くの食品加工メーカーは川上の原材料高騰と円安圧力に押し込まれ、川下からは競争激化による値下げ圧力に圧迫されて板挟みの厳しい状況になっている。今後それはますます食品加工メーカーの経営を悪化させるというのが大方のシンクタンクの予測である。
この予測をもとに中小企業は今後どのような戦略で今後の方向性を決めていけばよいか、ここでしっかり熟慮する必要がある。
優位性のない製品では価格競争の中で利益を得ることがますますできなくなる。
特に大口の受注には利益確保が一層困難になると考えられる。
今考えるべきことは特定の領域における競争優位の確立である。
消費構造の変化、安全安心意識の高まり、シニア世帯・単身世帯の増加等の変化に対応した商品開発、販売戦略、価格戦略が必要である。
そこに他社にはない当社の独自の強みをまぶしこんで優位性のある付加価値を提供しなくてはならない。
各社とも自分たちでは気が付かない独自の強みがある。どの会社にもこれまで培ってきたノウハウと顧客ネットワークがある。自社独自の技術や熟練の社員がいる。よく見極めてみれば他社にない強みが根底にあるから今日まで営業を続けてこられたのである。
ここをあぶりだすこと、わからないようならお客様に問えばよい。どういう理由で弊社とお取引をいただいているのですかと。
これまでデメリットとしてとらえていた多品種少量対応、融通調整力、即日出荷対応などはお客様の目から見れば自社の強みに転化していることに気づくはずである。
ずば抜けた商品開発力があるわけで無し、プロモーションコストが湯水のように使えるわけで無し、潤沢な設備投資や飛びぬけて優秀な営業がいるわけで無し、とすれば、気が付かない自社の強みに気が付き、これらを活用し優位性を築く戦略以外に勝ち残りのすべはなかろうと判断できる。
営業は人間力である。
当面は粘り強い価格改定の交渉努力で赤字幅をできる限り縮小し、次期には特定領域での競争優 位を創出する戦略を構築しなくてはならない。