改善提案管理の難しさ.

《総務》改善提案は部門の能力を露呈する。

ある中小企業では改善提案制度を10年以上継続している。

多くの企業で数か月から1~2年で立ち消えになってしまうのであるが、例外的に継続した結果、様々な問題が見えるようになる。

その会社では改善提案制度をISO9001の是正処置、予防処置としてマネジメントシステムに組み込んで表彰制度まで整備している。

それを継続していくと見えてくるものは部門間の格差である。

集計管理は総務部か企画を管理する部署が適任ではあるが、実行管理は各部門の責任者が行い報告する責任を持たせることが必要である。

そしてその結果を部門報告書に記載するよう指示するのである。

改善提案は提案する件数、実行できた件数、そこから見込める成果金額を算定し評価につなげる。

毎月一件提案できれば年間で12件である。これくらいなら無理なくこなせる。

また提案するだけでは意味がないので実行率を計算して評価基準に加える。

そしてその提案がもたらす1年間の成果金額を算出し、提案の優劣を判断し最優秀提案には思い切った報奨を与えることである。

ここではいくつかの問題が発生する。

改善提案は本来自分の担当業務、関連業務、あるいは部門内業務に対して行うものなのであるが、レベルの低い部門は到底出来もしない提案であったり、他部門批判の様な、自分ではどうしようもない提案を出してきたりする。

できている部門をそうでない部門の差が激しくなるのが普通のパターンである。

改善提案を運営するなら根気よく、そして執念深く、会社を変えていくため業務の一環として指導しなくてはならない。

改善提案をうまく活用すれば大きな成果につながることはトヨタの例を待つまでもなく間違いない。

改善提案制度を運用すると、この価値が全く理解できていない部門が必ずでてくる。

それは改善提案の集計表を見れば自ずと明らかである。

率先垂範として部門管理者も含めて改善提案を月一件出す。

部門内で実行管理を行い改善提案管理部門に報告する。

他部門のことを書くのではなく自分が率先して改善できることを書く。これが基本的なルールである。

繰り返すが改善提案は部門長も含めて月一件出す。内容を部門長が確認して指導する。

採用不採用を明らかにし、その情報を全社で共有し、採用案件は担当者の実行を支援する。

担当者任せにしたり、改善提案を放置せず必ず本人にフィードバックを行う。これを守っていただきたい。

ここ押さえることが継続のためのポイントとなる。

そうでないと部門間格差は縮まるところか拡大する。そんなことではきちんと取り組んでいる部門に対して全く失礼である。

改善提案は継続することで改善を考えることが習慣化する。

この改善の思考回路を脳に刻み込むことが生産性のボディーブローとして成果につながってくる。うまく活用いただきたい。

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