ヒヤリハットを隠蔽する工場の危機。

《製造》ヒヤリハットはハインリッヒ法則の根幹である。

製造関連部署ではヒヤリハットという言葉を耳にすることがある。

製造現場には大型の機械があったり、回転するもの、高温になるもの、鋭利なものなど見渡せば労災事故につながるリスクがいっぱいである。

いくら用心しても人間は機械ではないので魔が差すということがある。

いつもは気を付けているのに慣れからくる油断があったり、心配事があると注意が散漫になる。

そう言うリスクを前提に機械の安全対策はカバーを付けたり、スイッチを二重化したり、黄色の色分けしたり、あるいはゼブラゾーンを設けたりと工夫を凝らすが事故を完全に防ぐことはできない。

人の行動には思いがけない「まさか」があり、普通では考えられない行動をするときがある。これを分析研究したものが「ハインリッヒの法則」である。

労働災害における経験則の一つで、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものである。この法則はうまくできていて労働災害以外にも当てはまるケースが多い。

ある事例を示すと、工場の報告書の中にフォークリフトによる充填室壁破損事故の記述がある。その事故は運転操作上の問題ではない。根底に慣れからくる横着とルール違反があるというケースである。

事故が起こる時は共通したパターンがあるが、このルール違反は日常化していたと見るべきである。

ここを見抜き事故になる前に指導するのが管理職の役割である。

事故が発生すれば始末書で済ませばそれでよいということではない。

始末書では問題の本質が見えてこない。

原因を人に求めるのではなく仕組みに求めるという視点が重要である。

いわゆる「修正」ではなく「是正」を行わないと同様の事故の再発は防ぐことが出来ないというべきである。

事故を起こした本人は反省しているであろうが、時間が経てば元に戻るのが人間である。まさにヒヤリハットを思い出していただきたいところである。

きっと数多くのヒヤリハットの末に今回の事故が発生していることは疑いようがないところである。

初めにも申し上げたが製造工場には巨大な機械が設置され重大な事故のリスクがある。

よほどリスクを認識したマネジャーが管理して安全策を講じないと危ないのである。

工場によってはは別棟になっている場合がある。経験豊富な工場管理者が常駐せず、さらに経験の浅いメンバーで構成されている。そのこと自体がリスクなのである。

工場の管理職は一日の半分を別棟工場の見回りと指導に費やしても足りないくらいである。

ハインリッヒの法則を再度見直し、ヒヤリハットを把握すること、そして事故対策、ルール厳守を今一度見直していただきたい。

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