年末繁忙期対策はできているか。

《製造》年末繁忙期対策はできているか。

いずこの中小企業もわかりきっている年末繁忙期対策が甘いものになっている。

なぜかと言えば日々その日暮らしの追われての製造が日常化しているからそれどころではないというのが本音のところだろうと思う。

どうにかこうにか今日の仕事が無事に終わればやれやれ、明日の仕事は明日考えるとまでは言わないが、先の段取りをする余裕などもともとありはしない。

多くの中小企業では繁忙期対策に言及しても、有効な結論を出さないままに持ち越している。

各部門の会議では会議では年末体制の懸念があるとの意見はあるが、さりとて具体的な対策は取られない。

こういう状態はまさに工場管理が機能していない、クレーム処理、欠品対応、割込調整、製造応援で工場長が席にいることはない。夜8時までに製造日報提出は数名、残りのメンバー2/3は現場、改善する余裕は無く綻びを繕うだけで精一杯の自転車操業状態であると想像できる。

こう言うケースではあちこちに異常値がでる。

例えば異常な残業215.5時間増である。

昨年の製造実績は前年実績、製造予定を上回ってはいるが昨年の3.4倍の残業増加ほどの成果ではない。

そういう矛盾した数値が現場の混乱を映し出すのだ。

このような有様では年末在庫が確保できたとはだれも考えていないだろう。

残業は本来管理者が事前に命令するものであるが、その工場の実態は大きくかけ離れている。

それらの事情を勘案するまでもなく管理が手の内に入っていないことを感じる。

何が問題であり何が足りないのか、どうすれば工場管理を正常化でき年末繁忙期を乗り切れるのかを踏み込んで話し合わなくてはならない。

当然これは当該工場だけの問題としてとらえるのではなく全社の問題として全体最適の視点で取り組まなくては越えられない山であると思う。真剣な議論が必要である。

ベテラン社員が退社。

《製造》ベテラン社員の退社は技術の引継ぎが重要。

製造においてベテラン社員が退社し属人化していた技術を時間をかけてうまく引き継がれるかどうかは、とても重要なことである。

それまで積み重ねてきたノウハウや注意事項を作業手順書にまとめあげ引継ぎがスムースにできるよう体制を構築することが現場管理上求められる。

同時に製造の標準工数を整理し実績工数の比較から適正な製造量を割り出し数値で製造効率を管理していくことである。

特に後を継いだ新人が習熟するまでの数値は見劣りがするかもしれないが同時に
成長の跡も数字で示してやることができるし、目標値も正確に指示することがで
きる。

抽象的な目標でなく数値化された具体的な目標であれば人間は目一杯の能力を出すことができるものである。

人は遠からず入れ替わるのが製造においても営業においても宿命である。

それぞれの努力で積み上げてきた経験やノウハウは簡単に人に引き継げるものではない。

結局は後任人材が自分で努力して身につけていく他ないのが、本当の引継ぎの実
態である。

工場は問題が山積。

《製造》工場には問題が山積している。

製造工場というものはどこを訪問しても見かけ上はうまく運営しているように見えるが、実態はどっこい問題山積なのである。

工場の管理者はそれを放置しているわけではない。

いろいろ取り組んではいるが、事態は改善するどころか、さらなる新しい問題が発覚するなどして、成果として見えてきていないのである。

計画的に製造しようとしても飛び込み業務やトラブル、欠員などが発生し計画を崩してしまう。

その結果あるはずの在庫が底をつき、ついには欠品につながったり、異常な残業増加になったりする。

こうなると悪循環はとどまるところを知らず、繁忙期に向かって転がり落ちるがごとくである。

ある工場では見るに見かねた幹部社員が改善提案を提出した例がある。

製造計画の遅れを指摘しており、これを修復し欠品を削減するには繁忙期に向かう9月から12月までの3か月間派遣社員を2名採用し、年末の繁忙期に対応できる製造を行うというものである。

また製造ラインに専属のオペレーターを付けるという提案である。

何も知らない若手ではなくベテランの幹部社員が年末の繁忙期を憂慮してのことであろうと思う。

幹部社員の捨て身の提案は誤りなのか明らかにすべきである。

あいまいな目算で年末に突入し欠品だらけになれば迷惑をこうむるのは営業だけでなくお客様であり会社の信用失墜につながるのである。

しかし、その工場では改善提案は無視され年末繁忙期に欠品の嵐となった。

横着とルール違反が破損事故。

《製造》慣れからくる横着とルール違反が事故を招く。

ある工場ではフォークリフトの運転中に工場の壁を破損する事故を起こしているが、報告がなされなかった。

事故を軽視していることもあるが、補修費用の稟議をあげることをためらったからに他ならない。

どの工場にもフォークリフトはある。

しかし安全運転のルールを順守しているところは少ない。

ヘルメットもかけてあるだけで着用せずに作業を行っているし、一旦停止もできていない。

こうして見ていくと壁破損事故は運転操作上の問題ではない。

根底に慣れからくる横着とルール違反がある。こういう工場の場合、このルール違反は日常化していたと見るべきである。

ここを見抜き事故になる前に指導するのが管理職の役割である。

始末書で済ませばそれでよいということではない。

事故を起こした本人はその時は反省しているであろうが、時間が経てば元に戻るのが人間である。

くどいようだがヒヤリハット(ハインリッヒの法則)を思い出していただきたい。

労働災害における経験則の一つで、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には 300の異常が存在するというものである。

きっと数多くのヒヤリハットの末に今回の事故が発生していることは間違いない。

工場というものはフォークリフトに限らず、巨大な機械が設置され重大な事故のリスクがある。

よほどリスクを認識したマネジャーでないと危ないのである。

特に経験の浅い管理者が別棟になっている工場を管理しているような場合が危ない。

またさらに経験の浅いメンバーで構成されているとリスクはさらに高まる。

経験不足はそのこと自体がリスクなのである。

工場の管理職は一日の半分を工場の見回りと指導に費やしても足りないくらいである。

事故対策、ルール厳守を今一度見直すことが必要だろう。