《製造》工場の体制立て直しと議論の踏み込み。
どこの企業の工場を見ても同じことであるが、うわべはすごく順調で何の問題もないように見える。
しかし一人一人にじっくりとヒヤリングを行うと実態がおぼろげながら見えてくる。
幹部が集う会議に出席すれば尚のこと真の実態が明らかになる。いくらきれいごとを言っていても、順調に見える工場にもそれぞれにレベルに合わせて問題山積なのである。
どこの企業の工場にも年間のうち必ず繁忙期がある。
繁忙期はキャパ以上の仕事をこなさないと通年での生産性向上は期待できない。
とくに多くのケースでは年末繁忙期対策という特別体制を必要とする時期がある。
この調整を失敗すると欠品につなったり、事故発生の要因につながるのである。
会議では工場体制の立て直しと年末繁忙期対策などという議題が躍っている。
ところが、多くの場合経営者の意思が強すぎると、議題に踏み込むことなく、なんら有効な結論を出さないままに次月まで持ち越している。
肝心の議論を持ち出すことで会議が紛糾したり経営者に口撃されるのを恐れるのである。こういう妙な会議は日本全国至る所で開催されている。
議題の本質を棚上げし、幹部が保身に走るがゆえに会議が経営者の独演会になり、死に体となるのである。
ところが各工場内で開催される定例会議では主任クラスの発言が相次ぐ。
彼らには現場の事情がつぶさに分かるから、年末体制の懸念や問題点を訴えるのである。しかし、工場管理者は本社での会議ではその内容を封印してしまうのだ。
これでは工場管理が機能していないと言わざるを得ない。
しかし現場は火の車、課題山積の実態は、クレーム処理、欠品対応、割込調整、製造応援で工場長が席にいることはない有様である。
当然、現場を改善する余裕は無く綻びを繕うだけで精一杯の自転車操業状態であると言える。残業も増加し現場が疲弊している状況が見えてくるようになる。
そこまでやっても年末在庫が確保できたとはだれも考えていないだろう。
残業は本来管理者が事前に命令するものであるが、追いつめられた工場では残業の後承認になる。
これでは工場の事情を勘案するまでもなく管理が手の内に入っていないことを感じる。
工場管理の責任者の仕事とはなにか、ここは明確に申し上げなくてはならない。
何が問題であり何が足りないのか、どうすれば工場管理を正常化でき年末繁忙期を乗り切れるのかを踏み込んで話し合わなくてはならない。
当然これは工場だけの問題としてとらえるのではなく全社の問題として全体最適の視点で取り組まなくては越えられない山であると思う。