《経営》営業を仕入れに関与させてはならない。
ここが理解できていない企業や経営者が多い。
購買は管理・指導しているが、営業が関与することを大目に見ているケースがあまりにも多い。これは企業にとってのリスクになるので細心の注意を必要とする。
取引上の不正がもたらす損失だけの問題ではなく、有能な営業人材をつまらないことで失うことにつながるからである。
購買の基本的な管理については、各社なりに用心されているのは社歴が古いほどよく見かける。事例をあげると、購買とか調達とか仕入れに関する権限を持つ部署は担当者の自覚以上に大きな権限を持ち、数多くの誘惑にさらされることになる。
購買担当者には厳しく教えて間違いを起こさないように指導し、定期的に部署を異動させ癒着が発生しないようにコントロールしなければならない。
接待や心づけ、中元歳暮は必ず会社に報告提出させるルールを徹底し、違反が見つかれば解雇も辞さない厳しい姿勢が必要である。購買に対してはここまで管理しても不正は発生するが、抑止効果は高いと言えるだろう。
しかし、往々にしてできる営業は自分で仕入れ先を探してきて購買につないだりする。
それだけならまだリスクは低いかもしれないが、エスカレートして別会社を設立してそこを経由させたりするようになる。
果ては営業自身がその会社の役員になり報酬を受け取るようなことになる。こうなると背任罪を構成し犯罪として告訴されれば逮捕されることにもなる。
多くの営業はそれが犯罪だとは気づいていないところが悲しい。
会社も仕入れ先も自分も儲けて三方よしのつもりなのだ。特に異動が少ない支店などの営業によく見かけるパターンである。結果として関与したものは有罪になり前科者になってしまう。
優秀な営業を失い仕入れ先も切らざるを得ないことになる。こちらの痛手も大きいのである。
決して珍しいことではない。営業は仕入れ先に関与させてはならないというのはそういう理由からである。
そんなつもりは最初のうちはないかもしれないが、打ち合わせで一緒に食事をし、中元歳暮をもらい、飲み歩くようになるともう抜け出せない。モラルがマヒする瞬間である。営業活動のような顔をしてゴルフにも行くし、持ち物も服装も変わってくる。
営業は相手の懐に入ってなんぼの仕事である。
得意先の懐に入るのは営業力だが仕入れ先の懐にからめとられないような管理と指導が必要である。
営業の管理者も購買の責任者も問題を見つけてもフタをするケースがある。ここを見極めて断罪できるのは経営者だけである。泣いて馬謖を斬る事も時には必要になる。