《製造》ジョブローテーションのメリットとリスク。
多くの製造工場では多能工化なる合言葉でジョブローテーションを進めている。聞こえはまあよいが、内情はいささかお寒いところである。
人は仕事を覚えるまではミスもするし効率も悪いものであるが、時間がたち習熟するほどミスも減り生産性も向上する。
ところが人は往々にして飽きる生き物であるため、転職や退職が発生し人は入れ替わる。
するとその都度、熟練の技術と暗黙知は失われ、リセットされる。それならばと計画的にリセットし仕事を広範囲に覚えられるようジョブローテーションを行うようになる。
例えばある工場で今回2名増員及び製造ラインの改修のめどがついた。しかし今後の営業からの製造見込情報はそれを飲み込んでしまう量が予想されている。
既に製造能力は飽和状態の中、時間延長でクリアしているが二交代で取組む場合はそのための人員が必要になる。
しっかりした年間製造計画とそれに見合う設備および人員投入計画を早急に立案するよう求めたい。こういう場合ジョブローテーションの入り込む余地がない。
改善提案で工場長代行自らジョブローテーションの実施を提案している工場もある。
製造現場における専任は技量的には高まるが、作業員の怪我や休みなどのアクシデントにもろく、何あると製造体制の脆弱性を露呈する。
ジョブローテーションは、趣旨を理解させ納得させてからでないと本人の負担増になりモチベーションを落としてしまう可能性もある。
工場全体の状況とジョブローテーションの狙いを説明し、自発的に取組むことができるようよう慎重に実行すことが大切である。意図するところをはき違えてジョブローテーションを強行すると製造現場が混乱するンなどデメリットが大きくなる。
ジョブローテーションはメリットとデメリットを押さえたうえで慎重に行う必要がある。