製造記録とシステム一致は重要。

《製造》製造記録とシステム一致は重要。

中小企業は販売管理システム、製造管理システムをパッケージのカスタマイズで導入することが多い。

一歩進むと販売生産管理システムとして製造と販売のデータをシステムで一手に管理することができるようになる。しかしオフコンに代わり販売生産管理システムを導入したとしても、製造記録をデータ化するためには製造現場が正しい製造、適切な記録、間違いのない製造記録入力を行う必要がある。

製造記録を書きあげることはそれほど難しいことではない。しかし正確に書くとなると社員のレベルや意識にもよるが、そうは簡単にいかない。なるべく手間がかからないように製造記録書を1日一枚にしたり、在庫表を共有フォルダにおいたりと、製造現場は新しい取組みを進めようとする。

しかしながら定期の棚卸しとシステム在庫の差異を分析していくと、製造記録が十分に管理されていないと思われることがよくある。製造の定義を明らかにし、責任ある記録をシステムに残すことが何より重要である。

差異あるところには必ず何らかの間違いがあり、最悪の場合、製造記録そのものがない、製造記録の入力がなされていない、当該作業を製造と認識していないなどのケースが見受けられる。

販売生産管理システムの初期稼働段階ではシステム的なバグおよび問題点は多いが、徐々に減少して一定期間を過ぎると問題点はほぼクリアされる。そうなってくると棚卸による在庫の差異はカウントミスや入力ミスのような人為的ミスに集約されることになる。これはチェックする仕組みがないと容易になくなるものではない。

製造現場は製造記録を実際の製造作業と一致させること、その記録をシステムに正確に入力することは工場長の責任である。

システムより在庫明細を毎週出力し、現場で一致を確認する仕組みを作る必要がある。どのような仕組みにするかは工場長会議で等で検討し改善をすすめなくてはならない。

工場からの報告書を拝見すると、設備改善の一部進捗がうかがえる。早急に優先順位を決め効率を予測したデータを提出願いたいと思うことがよくある。

どこの工場でも同じことであるが、システムは会社側が決めた仕組みであり現場は自分たちのやり方を固持しようとする。そういう姿勢ではシステム入力や製造記録入力は余計な仕事となり、精度が上がることは期待できなくなる。

製造現場に製造記録とシステムの一致がなぜ重要なのかを理解させなくてはならない。骨が折れる仕事であるが、根気よく繰り返し納得するまで説明を繰り返すことである。

食品の事故リスクは甚大になった。

《経営》食品の事故リスクは甚大になった。

食品事故が過大化というか肥大化の一途である。

些細な異物混入でも社告を掲載し回収を行うケースが増加している。

かつては菓子折りとお詫びで済んでいたことが、食品事故としてマスコミに取り上げられると、ほとんど危害発生のリスクがなくても回収から謝罪広告、信用失墜につながる。特にメーカーにおける食品事故リスクは極めて重大である。

メーカーの製造ラインではわずかの原料が大量の製品に拡大し市場に投入される。被害想定範囲は拡大し、回収事故ともなればリコール費用、社告費用等々会社の根幹を揺るがしかねない怖さがある。

保健所からの回収命令も出ていないのに自主回収となる。

然るに多くの企業ではPL保険が軽視される傾向がある。特にリコール保険は特約として付帯するとコストが増加するので見送るケースも散見される。

PL保険がないとなると回収費用も数千万と言われる社告費用も自腹になる。さらには事故が拡大し被害が出ると巨額の賠償が予想される。PL保険未加入リスクは、事故の隠ぺいにつながるものなのである。

ある食品工場では日々のクレームを見ているといつ食品事故が起こってもおかしくない状況である。ある工場とはどこにでもある普通の食品工場のこととお考えいただきたい。それくらいどこの工場にも食品事故の芽がごろごろ転がっているように思う。

工場の製品管理状況は何が何でも事故を出さないというレベルおよび仕組みを構築しなければならない。メーカー相手の原料出荷は徹底した安全対策をとり二重三重のチェックが必要ではないか。

それと同時に回収事故に対応可能な保険でする食品工場のリスクをヘッジすべきである。多くの企業の現場実態を見ると、このままでは危なすぎると言わざるを得ないところである。