改善提案の管理手法。

《総務》改善提案制度は運用管理がポイントである。

改善提案の管理は部門責任者が行うものである。

その結果を部門報告書に記載するのが総務の役割である。

改善提案では管理できていない部門とできている部門の差が激しい。

 

どこの会社にとっても社員の英知を集め、合理化を進めるには改善提案を出させることは極めて有効な手法である。

会社を変えていくための改善提案であり業務の一環として認識しなくてはならない。

改善提案をうまく活用すれば大きな成果につながることはトヨタの例を待つまでもない。

このことが全く理解できていない部門がある。総務が作成する改善提案の集計表を見れば明らかである。

提出ルールは工場長も含めて改善提案を月1件出すことである。部門内で実行管理を行い総務に結果を報告する。

多くの改善提案制度での運用の誤りは、他部門の批判を書くことにある。

他部門のことを書くのではなく自分が率先して改善できることを書く。これが基本的な
ルールである。

繰り返すが改善提案は部門長も含めて月一件出す。

内容を部門長が確認して指導する。採用不採用を明らかにし採用案件は担当者の実行を支援する。

担当者任せにしたり放置せず、必ず本人にフィードバックを行う。これを守っていことが何より重要である。

できない部門がのさばってしまうと、きちんと取りんでいる部門に対して全く失礼なことになる。

月次試算表でも明らかに営業利益がでない。

《営業》月次試算表でも明らかに営業利益が出ない。

ある会社では月次試算表でも明らかに営業利益が出なくなり、当期のシミュレーションでも利益を確保するにはいくつかのハードルを越えなければならないことが明確となっている場合がある。

その矢面に立ち会社のリーダーとして困難を切り崩していくのが営業の仕事である。

越えなければならないハードルを列挙するとその会社の営業部門の問題点が見えてくる。

利益が出ない要因を解決する第一の方法は価格改定を急ぐことである。

ひところの事例で言えば原料高と為替の円安は製品原価を大きく圧迫している。

さらに設備投資に伴う減価償却費が原価に加算されることになるので一層営業利益は厳しいものになる。

期首からはすでに4カ月が過ぎている様な場合、値上げが2か月遅れるだけで最終営業利益は半分になるという予測が成り立つ。

利益を確保する第二の方法は売上を達成することである。

売上は最大の力であることは変わりがない。予算ができれば利益はついてくるものである。

売上ができれば製造効率も上がるしロスも減少する。製造量が少なくても工場の固定費は一人前にかかってくるからである。

利益を確保する第三の方法は自社製品販売強化を具体化することである。

自社製品の原価には工場で稼ぐ社内加工益が原価として含まれている。

取り売り商品とは利益構造が違うのである。

この会社では目標の一番目に掲げられ、それなりに取り組んでいるはずであるが製品販売比率が一向に回復する兆しが見えない。

掛け声だけにならないよう行動の具体的計画が必要になろう。

利益を確保する第四の方法は付加価値の高い製品の販売体制の見直しを行うことである。

付加価値の高い製品を売るには根気と忍耐とプロモーション、それと販売スタイルの転換である。

当期の営業利益が赤字であれば中長期の目標達成どころか次の設備投資に黄色信号がつく。

ここは全社力を合わせて営業を支援し営業は全力で踏ん張っていく覚悟が必要であろう。

計画残業の罪。

《製造》計画的な残業は習慣化して利益を圧迫する。

製造業では残業が日常化すると製造上の稼働率は低水準であるにもかかわらず残業は増加しているということがよく起こる。

残業の中身は様々であると思うが、残業代が生活費化しているケースがある。

実際の事例で2点問題を指摘したい。

まず計画残業と称して残業が恒常的になりつつある工場の例である。

当初計画的な残業は在庫確保に有効な手段となっていた。

計画残業は後手後手残業の無計画による非効率を改善する効果はあるが、長期に継続すると予定の残業となり生活給化する。

繁忙期でもないのに予定の残業が消化されるようになる。時間に合わせて仕事をするようになるのが人間というものなのだ。

今一つは例えば自動充填すべきものを手詰めで対応したという様な非効率な事例である。

工場間の連携が途切れ、製造計画がとん挫すると、無駄な作業が発生するのはどこの工場でも同じことである。

せっかくの仕組みもうまく使わなければ宝の持ち腐れとなる。

この事例で言えば自動充填すべきものを手詰めすることがどれほど非効率か過去に身にしみているはずである。

計画残業とは聞こえがよいが、一つ間違うと生活給稼ぎの予定残業となる。

一度計画残業が生活給化すると、これをやめさせるには骨が折れることになる。残業は基本的に発生させないというマネジメントこそ重要である。

現場を確認し直接指導する。

《製造》製造現場を確認し直接指導が幹部の役割。

比較的管理が行き届いている工場でも内情は甘くないことが往々にしてある。

工場の従業員は年齢や経験、習熟度もさまざまである。

そこへもってきて性格も異なるわけであるから、マネジメントは一筋縄ではいかないところである。

まじめだが気が小さいもの、度胸はあるが横着なもの、ち密なもの、雑な性格のものまで実にさまざまである。

工場での人員配置は性格と能力と熟練度を見て組み合わせて使わなければならない。特に入社後日の浅い従業員には気を使う必要がある。

製造部門の報告などを見ていると、気になる記述としては「新配置担当者のラインへの習熟度がやや不足している。」などと書いてある。

配置しているメンバーは新卒であったり中途採用であったりで経験年数、場数は思ったより少ない。

こういうメンバーは単独で配置することはリスクになる。イレギュラーな場面に適切に対応することを求めるのは無理がある。

大事なことは離れた工場であっても常に報連相を徹底させ、問題発生時は自分で判断させるのではなく即座に携帯で連絡をとり指示を仰がせることである。

状況によっては駆けつけて現場を確認し直接指導することが大事である。

別棟になっているような工場を、情報の離れ小島にしないことが管理職の役割である。

システム障害は事業継続に重大な影響

《情報システム》システム障害は事業活動の大きなリスク。

ある会社の事例でいうと、落雷で雷サージと呼ばれる過電流がシステムのネットワークと電話回線の中を流れPCは6台、電話は5台使用できなくなった。

システム担当が幸いに中古マシンをフル活用し一部部品購入による応急処置でPCは5台まで復旧した。

一台は全く手が付けられずメーカー修理となったが業務に特段の支障を出すことなく乗り切れたことは幸運であった。

この例のように

常にシステムはリスクと隣り合わせであり、システム障害は事業継続に重大な影響を与える。

各企業ともバックアップの重要性は認識しているが、USBメモリを使用したバックアップ管理手法は情報漏えいリスクを伴うため見直したい。

どの企業にも社内には基幹文書重要文書活用文書普通文書の区分けにより重要度区分によるバックアップ体制をルール化することである。

バックアップを行う場所と手法はファイルサーバ内もしくは仮想化したサーバ内にバックアップスペースを新たに設置するかを検討中するのがよい。

いずれの場合もフルバックアップを行うと多大な時間を要するので差分バックアップ
を習慣化するルールを考えることだ。

情報・文書は会社の資産である。文書の要不要を明確にし無駄のないバックアップシステムを構築し、システムの可用性・信頼性・保守性を確保するため VRM
(Vital Records Management)を設計する。

これは企業におけるIT統制を視野に入れた第一段階である。

幹部会議の位置づけが理解できていない。

《総務》会議の位置づけが理解できない企業。

どの企業にも各部門の責任者が集う幹部会議なるものが、呼び名は異なれども存在するはずである。

ところが多くの幹部連中の声を聴くと、幹部会議の位置づけが理解できていない。

幹部会議はマネジメントシステムISO9001のQMにおいてマネジメントレビューとして位置づけられるべきものである。

従って会議の主催者は社長であり、期首に設定した部門目標である品質方針、品質目標の達成度を報告する最重要会議であるはずである。

各部門長は社長の指示に対して部門目標の達成度を報告する責任がある。

むろんいかなる理由があろうとも部門長である限り報告義務を免れるものではない。

部門報告書が不完全であれば責任を問われるところである。

報告書の内容も含めて幹部会議が社長に対するマネジメントレビューの場であることを今一度しっかり理解させ、相応の準備と自分の意見を持ち参加させることが重要である。

もう一つ付加させていただけるなら報告書の提出期限は、できる限り遵守させることが規律を守らせることになる。

なぜ規律が必要かと言えば、部門報告書を十分読み込んで問題点を短時間で指摘しなくてはならないからである。

事前に質問・意見・要望を提出させるというのは一つのやり方である。

幹部会議での議論を無駄なく集約するための前準備として有効である。

会議の準備が不十分ならば議論は深まらない。

購買の業務の合理化。

《購買》購買業務はいくらでも合理化できる。

購買の業務は手をかければかけるほど手間かかるようになるという面がある。

逆に言うと合理化すればいくらでも短縮できるということでもある。

購買の管理者は業務内容を見直しシステム化することである。

不思議なものでかつては一人で対応していた購買業務が、人が増えても今は2人で
あふれている。

購買に限らずであるが、2人いれば2人分の仕事になる。なぜかと言えば人間のもつ調整機能が仕事を分かち合うからである。

土地の払い下げ手続きなどで公務員に対峙していると仕事のための仕事稼ぎとしか思えない無駄がある。話はそれてしまっているが、3日でできる仕事を3年かけてやっている。

購買に話を戻そう。そういう意味において部下の業務も含めて無駄な作業、重複業務がないかどうか分析し改革することが必要である。

特に購買業務においては定型業務はシステム化し作業分担を見直せば無駄取りができるはずである。

定型業務は必ず自動化できる。

また業務内容と手順、基本的なデータを整理し誰でも理解できるよう整理することが必要である。

どうしても購買業務に限らず人がやることは属人化は避けられない。

購買業務を整理する中で無駄な部分が必ずあぶりだされてくるものである。

発注権限は購買に属する。

《購買》購買の発注権限を明確にする。

購買部は調達責任を任された独立した一部門である。

原料にしても商品にしても、もちろん包装資材にしても同じであるが発注権限は購買に属する。

購買以外のものが発注する弊害は企業にとって大きなリスクに転じる恐れがある。

会社内で勝手発注がもしあるならばただちに改め購買に一元化しなくてはならない。

合意の上で工場発注になっている消耗品等はこの限りではない。

組織としてのお互いの権限と責任を理解し、逸脱行為がないようにすることが重要である。

企業としての統制が取れていると権限の分岐も明確になっているが、中小企業では兼務や人の入れ替わりが激しく、経営者の胸三寸で人事が決まるのでこの辺はあいまいになりがちである。

購買は逸脱行為に対しては毅然とした態度で臨み組織である以上例外を認めないことである。

一方購買には利権が集中しやすいので、長期政権はリスクを伴うと思うべきである。

業務というのは習熟度が重要ではあるが、あえて配置転換を行うのは癒着リスクを低減することが目的である。

金融機関や大手企業が繁く配置転換をおこなうのは、習熟度の向上による生産性よりも、癒着リスクの方が大きいと感じているからに他ならない。

いかに厳正な性格であろうと、購買も人間である。付き合いが長くなる営業とは距離が近くなる。相手の懐に入ってなんぼの営業であるから、お互いに情が生まれる。

コミュニケーションはよくなるが、切るべき時に切れなくなるなど、弊害が出てくる。

くどいようだが経営者という立場であれば、購買(調達)の長期政権は用心すべきである。

中小企業は資金効率を考えるな!

《財務》中小企業は資金効率を考えるな。

中小企業は資金調達に苦労する。時には脂汗をかきながら尊大な金融機関に頭を下げて回らねばならない。

儲かっていれば金融機関など足蹴にしたいくらい腹が立つのも無理からぬところである。

儲かれば儲かったで税金という足かせがはめられる。

儲かったときにため込んでおいて万が一の時に使おうと思っても、キャッシュフローは思いどおりにならない。

経営が順調で資金繰りが楽になると当座においてあるキャッシュフローが惜しくなる。当座のキャッシュフローは利益を生み出さないので、経営者としては無理からでも投資を考えてしまう。

ここが中小企業での間違いの始まりだ。

キャッシュフローをモノやコトに変換するのが投資だ。換金性の低い投資にキャッシュフローをあててしまうと資金繰りが苦しくなる。

キャッシュがものに変わることで流動性を損ない、結果として首を絞めることになる。

経済本のROE(自己資本利益率)など中小企業にはあてはまらない。

吹けば飛ぶような中小企業は用心が上にも用心で、簿外に資金をしこたまため込むことだ。もちろん余力があれば税金などと言う見返りゼロのコストを払うより、と言うことだ。

中小企業はオーナー企業がほとんどである。上場していなければ株式は経営者とその一族が持っている。だれもROE(株主資本利益率)がどうのこうのとは言わない。

資金はため込むことが中小企業の生命線だ。そして本当に必要な時に一気に投資するのが中小企業の経営だと言えよう。

税金を払わずに資金を簿外にため込む手法は法人契約の生命保険がベストである。

安全性、換金性、損金性、課税繰り延べ効果においては法人契約の生命保険の右に出るものはないだろう。

生命保険でため込んでおけば、経営者たる自分が役員退職金を受け取る時にも解約返戻金の雑収入をあてこめばよいだけであるから、会社の財務に負担をかけないで済む。

後継者が軌道に乗せた会社から、役員退職金をごっそり抜くわけだから、早くから計画的な積み立てが必要である。

損金で簿外に積立、解約返戻金の雑収入を役員退職金にあてればこれまた損金である。

簿外に資金をため込むといかにも資金効率が悪化しているように見える。

しかし中小企業は生き延びてなんぼの世界である。

法人契約の生命保険で緊急予備資金を簿外に積立、万が一に備えておき、自分が退職するときには解約返戻金で役員退職金に当て込む。

一石三鳥と言える手法であれば、資金効率などという余迷い事は中小企業にはあてはまらないのである。

製造メーカーは自社製品の価値を知れ。

《営業》製造メーカーは自社製品の社内加工益を利益と考えよ。

営業は会社のリーダーであるとは本サイトの基本的主張である。

営業は売上もさることなら利益を稼いでこそ責任が果たせる。

製造メーカーの営業たるもの管理用の粗利だけを追うようではリーダーたる資格に欠けるといわねばならない。

 

製造メーカーの営業は会社全体に目を配り、財務的な知識を押さてえいなくてはならない。

会社として儲けるにはどういう営業をすればよいか、何を売ればより儲かるかを知らねばならない。

製造メーカーには自社で製造した「製品」と仕入れてきて転売する「商品」がある。

営業にしてみれば商品を売ることは手間がかからず製造と交渉したりする手間が省けるので、売上だけを追うならば商品販売は営業にとってわかりやすいしコントロールしやすいのである。

しかしこの判断には製造メーカーの営業として大きな判断の誤りが潜んでいる。

製造メーカーが製造する製品の原価には工場の経費が含まれている。会社にとればこれも儲けになる。いわゆる社内加工益と言われる原価である。

商品販売で粗利が18%であれば、会社の構造にもよるが販管費を回収するだけの粗利とは言えない。

製品販売の場合は原価の中に製造のコストが含まれており、同じ18%でも価値が全く異なる事を理解しなくてはいけない。

製造メーカーは認識の甘い営業部長を据えると、会社全体の利益が見えずに目先の粗利を追うような営業指導をする。

結果として安易な売上と言うべき商品販売に営業の時間を割くことになり、商品販売比率の増加に伴い会社としての財務的な売上総利益は日々低下していくことになる。

製造メーカーの目標には自社製品販売強化を掲げているものがあるが、その本質的理由を再度理解してほしい。

自社の工場で製造する製品は同じ粗利率でも商品の2倍から3倍の価値がある。
繰り返すが、なぜなら原価に工場の経費がまるまる含まれているからである。

さらに言えば工場の人件費や工場建設に投資した減価償却費などが原価に含まれているのである。設備投資を回収するには自社製品の販売比率を上げることが最も効率的である。

自社製品の販売を現10%引き上げれば利益は大きく違ってくる。製品の販売比率を営業の評価基準として新たに「営業粗利貢献ポイント制」の導入を検討するとよい。

これにより営業の評価基準を明確にすることで自社製品の販売強化を一層進めることができる。