昨対管理と予算管理の重要性。

《営業》営業管理は昨対比較を卒業せよ!

営業の予算管理において昨対比較をすると判断を誤るとは以前書いた。

中小企業でも規模が小さいうちは経費予算も売上げも昨対比較で検証しておけば大きな判断の誤りにはならないだろう。

特に売上が右肩上がりの折には問題はない。

しかし、時代の潮目が変わり売り上げの安定性がなくなると、経営という視点においては昨対比較では比較の意味がなくなる。

売上予算があれば売上予算に対する経費予算があるべきであり、予算との差異を検証するのが正しい経営といえるだろう。

昨対をクリアしても予算をクリアしなければ目標の営業利益は出ないのである。

ある会社では上期を終了して、売上は予算に対し90%である。

ということは下期で上期の不足分をおぎなって予算を達成するためには対予算110%を実現しないと目標に届かないことになる。

ところが昨対は101%だとか、救いがたい安ど感に安住している。会社全体の財務が見えない営業管理者は失格ということになるであろう。

実績から見てこれは大変な数字である。作対クリアで満足する習慣が身に付いた営業は飛躍できない。

もとから予算達成する気がないと言われても仕方がないのではないかと指弾せざるを得ない。

営業の責任として下期が始まる前に期首に設定した予算を達成する戦略を再構築する必要があるのではないかと思う。

作対クリアで満足すれば結果は作対割れになることが往々にしてありうる。

自然の帰結として下を見ればバーは下がる。それはこれまでの経験で明らかである。

目標を下げてしまっては予算も何もありはしない。

価格改定を進めつつ売り上げを確保していくことは実際容易な道のりではない。しかし作対に満足することなく予算達成を目標にしてこそ営業としての数字はついてくる。

欠品情報が招く責任回避。

《製造》欠品情報は諸刃の剣となった。

ある製造メーカーでは多品種小ロット対応を差別化の強みとしていた。

多品種小ロット対応を戦略として目指してきた訳ではなく、顧客の無理を聞いてきて、どうにかこうにかやりくりしてきた結果の多品種小ロットであるから、製造現場がきちんとした製造計画と理論があって運営できているということではない。

従って工場の管理者が変わりでもしようものなら、やりくりに支障が出て欠品の嵐になってしまう。

そもそも製造というものは生産性を考えれば製造ロットをあげようとする考えが支配的になる。

しかし製造ロットが大きくなれば在庫の増加と食品製造などでは賞味期限問題が出てくるので、常に生産性と製造ロットの大きさはトレードオフの関係になる。

慣れない製造管理者は欠品を恐れるあまり、多めに製造しようとしてしまう。その結果在庫が増加し小ロットが排除され欠品につながる。財務的にもキャッシュフローを圧迫する要因になる。

小ロット対応に力を入れれば主力アイテム欠品などと言う許されざる事態を招くことになる。ここに多品種小ロット対応工場の製造管理者の難しさがある。

欠品の情報が見えないと営業も顧客もイライラがつのることになる。

突然の欠品は顧客に甚だしい迷惑をかけ、場合によっては取引停止まで発展することすら考えられる。

そこで同報メール機能を活用して「欠品情報」というサブジェクトで欠品の正確な情報と納品可能な日を案内するシステムをスタートすると欠品情報の情報流はよくなり急ぎ顧客とそうでない顧客との調整も可能になる。

良いことばかりかと思いきや、そういうものでもない。

安易に欠品情報が流れるようになり、欠品の責任が希薄になってしまう。

工場の現場では欠品の重大性の認識が薄れ、仕方がないことという空気が生まれてくる。こうなると多品種小ロットのリスクが露呈し顧客不満足を量産することになる。

そういう工場は会議ごとの報告書に書かれている通り、問題が山積している。

実際の現場では目先の業務に追われて、まるでもがくように、いろいろと取り組んではいるが成果として見えてきてはいない。

相変わらず欠品情報は流れているし残業も増えるばかりである。

工場によれば事態を憂いた中堅社員の改善提案のなかで、製造計画の遅れを指摘しており、これを修復し欠品を削減するには期間限定で派遣社員を2名採用し年末の繁忙期に対応できる製造を行う、というような進言まで出てくるようになる。

何も知らない若手ではない中堅社員が欠品の状況を見るに見かねて、年末の繁忙期を憂慮してのことであろうと思う。

あいまいな目算で年末に突入し欠品だらけになれば、迷惑をこうむるのは営業だけでなくお客様であり会社の信用失墜につながるのである。

多品種小ロットを強みにするというなら企業の戦略として欠品率を制御すべきである。欠品情報の提供が悪いのではなく、製造管理が未熟なだけである。

ヒヤリハットを隠蔽する工場の危機。

《製造》ヒヤリハットはハインリッヒ法則の根幹である。

製造関連部署ではヒヤリハットという言葉を耳にすることがある。

製造現場には大型の機械があったり、回転するもの、高温になるもの、鋭利なものなど見渡せば労災事故につながるリスクがいっぱいである。

いくら用心しても人間は機械ではないので魔が差すということがある。

いつもは気を付けているのに慣れからくる油断があったり、心配事があると注意が散漫になる。

そう言うリスクを前提に機械の安全対策はカバーを付けたり、スイッチを二重化したり、黄色の色分けしたり、あるいはゼブラゾーンを設けたりと工夫を凝らすが事故を完全に防ぐことはできない。

人の行動には思いがけない「まさか」があり、普通では考えられない行動をするときがある。これを分析研究したものが「ハインリッヒの法則」である。

労働災害における経験則の一つで、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものである。この法則はうまくできていて労働災害以外にも当てはまるケースが多い。

ある事例を示すと、工場の報告書の中にフォークリフトによる充填室壁破損事故の記述がある。その事故は運転操作上の問題ではない。根底に慣れからくる横着とルール違反があるというケースである。

事故が起こる時は共通したパターンがあるが、このルール違反は日常化していたと見るべきである。

ここを見抜き事故になる前に指導するのが管理職の役割である。

事故が発生すれば始末書で済ませばそれでよいということではない。

始末書では問題の本質が見えてこない。

原因を人に求めるのではなく仕組みに求めるという視点が重要である。

いわゆる「修正」ではなく「是正」を行わないと同様の事故の再発は防ぐことが出来ないというべきである。

事故を起こした本人は反省しているであろうが、時間が経てば元に戻るのが人間である。まさにヒヤリハットを思い出していただきたいところである。

きっと数多くのヒヤリハットの末に今回の事故が発生していることは疑いようがないところである。

初めにも申し上げたが製造工場には巨大な機械が設置され重大な事故のリスクがある。

よほどリスクを認識したマネジャーが管理して安全策を講じないと危ないのである。

工場によってはは別棟になっている場合がある。経験豊富な工場管理者が常駐せず、さらに経験の浅いメンバーで構成されている。そのこと自体がリスクなのである。

工場の管理職は一日の半分を別棟工場の見回りと指導に費やしても足りないくらいである。

ハインリッヒの法則を再度見直し、ヒヤリハットを把握すること、そして事故対策、ルール厳守を今一度見直していただきたい。

改善提案管理の難しさ.

《総務》改善提案は部門の能力を露呈する。

ある中小企業では改善提案制度を10年以上継続している。

多くの企業で数か月から1~2年で立ち消えになってしまうのであるが、例外的に継続した結果、様々な問題が見えるようになる。

その会社では改善提案制度をISO9001の是正処置、予防処置としてマネジメントシステムに組み込んで表彰制度まで整備している。

それを継続していくと見えてくるものは部門間の格差である。

集計管理は総務部か企画を管理する部署が適任ではあるが、実行管理は各部門の責任者が行い報告する責任を持たせることが必要である。

そしてその結果を部門報告書に記載するよう指示するのである。

改善提案は提案する件数、実行できた件数、そこから見込める成果金額を算定し評価につなげる。

毎月一件提案できれば年間で12件である。これくらいなら無理なくこなせる。

また提案するだけでは意味がないので実行率を計算して評価基準に加える。

そしてその提案がもたらす1年間の成果金額を算出し、提案の優劣を判断し最優秀提案には思い切った報奨を与えることである。

ここではいくつかの問題が発生する。

改善提案は本来自分の担当業務、関連業務、あるいは部門内業務に対して行うものなのであるが、レベルの低い部門は到底出来もしない提案であったり、他部門批判の様な、自分ではどうしようもない提案を出してきたりする。

できている部門をそうでない部門の差が激しくなるのが普通のパターンである。

改善提案を運営するなら根気よく、そして執念深く、会社を変えていくため業務の一環として指導しなくてはならない。

改善提案をうまく活用すれば大きな成果につながることはトヨタの例を待つまでもなく間違いない。

改善提案制度を運用すると、この価値が全く理解できていない部門が必ずでてくる。

それは改善提案の集計表を見れば自ずと明らかである。

率先垂範として部門管理者も含めて改善提案を月一件出す。

部門内で実行管理を行い改善提案管理部門に報告する。

他部門のことを書くのではなく自分が率先して改善できることを書く。これが基本的なルールである。

繰り返すが改善提案は部門長も含めて月一件出す。内容を部門長が確認して指導する。

採用不採用を明らかにし、その情報を全社で共有し、採用案件は担当者の実行を支援する。

担当者任せにしたり、改善提案を放置せず必ず本人にフィードバックを行う。これを守っていただきたい。

ここ押さえることが継続のためのポイントとなる。

そうでないと部門間格差は縮まるところか拡大する。そんなことではきちんと取り組んでいる部門に対して全く失礼である。

改善提案は継続することで改善を考えることが習慣化する。

この改善の思考回路を脳に刻み込むことが生産性のボディーブローとして成果につながってくる。うまく活用いただきたい。

メールマナーの無法時代.

《情報システム》メールマナーはIT進化で死に絶えたか!?

いずこの企業も大小規模を問わず、システム管理は重要度が増している。

しかし運用管理する組織や保守セキュリティーレベルは、はなはだ心もとないのが現実である。

企業というからには販売があり利益がある。この数値を管理する仕組みとして販売システムがあるはずである。

また製造メーカーには当然のこととして販売生産管理システムがある。そして当たり前のようにメールが使用されている。かつてはメールと言えば手紙のことを指したが今や電子メールのことを差すのは常識化している。

PCを業務に使用する初期のころは処理速度も遅く、ハードディスクの容量も小さかった。

ゆえに画像をメールに添付して送信するなどはもってのほか、ご法度行為であった。

機種依存文字や半角カタカナを使用しようものならシステム障害につながることすらあったのである。

従ってメールマナーは厳しく指弾されたものである。

ところが昨今はメールマナー無法時代と言っても過言でないほど好き勝手なメールが横行し迷惑を及ぼしている。

例えば会社でメール管理をする場合、自社でメールサーバを調達できる企業は多くない。ほとんどが外部のメールサービスを利用している。と言うことはメールサーバは有限である。

届いたメールは各自が自分の端末PCで受信するまでは借りているメールサーバに保管さる。

メールサーバ保管容量は当然のことながら制限がある。

メールサーバは容量が大きくなればランニングコストも大きくなるからメール利用者数に応じた適正な規模がある。

この容量を超過したメールがメールサーバにたまると外部よりメールが届かないという事態になりメール送信者に迷惑をかけることになる。

各人がこまめに受信すればある程度回避できるが、

情報を蓄積するサーバも有限であるということをご理解すべきである。

本来普通に使用していれば容量オーバーにはならない。

ポイントは3つある。一つは長期間メールを確認していないためにメールが溜まっているケース、二つ目は容量の大きい添付ファイルを複数回、複数人に配信するなど、異常な使用をているケース、三つ目は無用な引用でメール容量が肥大化しているケースが主要因であろうと考えている。

無用な全文引用ほど無責任なものはない。

通常の手紙のやりとりで全文引用などはするはずもないのだから、内容を咀嚼して必要な個所だけを引用し自分のシグネを最後に置くべきである。

いったいどこがメール文の終わりかわからない延々とした全文引用の梯子がまかり通るようになってしまったのは、マイクロソフトのメーラーのデフォルト設定に原因がある。

基本として言えること、メールは自分の責任と意思で送信すべきものである。

日常的にメールを使用している人は問題ないが、そうでない人は一日一回はメールチェックを習慣化していただきたい。

またメールはできる限りコンパクトにまとめて長いメールにならないよう配慮いただきたいとはどこのシステム管理者も同じ思いである

1メガバイト以上添付は基本的には共有ファイルに置くなりデータ便等の仕組みを利用することが肝要である。

どうしても添付で送る場合は受信側に連絡して速やかに受信を完了いただく等の配慮が必要である。

同報メールやメーリングリストで巨大な添付ファイルを送信することは基本的にご法度であると考えていただきたい。これは一般的なメールマナーとしてご理解いただきたい。

目標は具体的に測定可能な数値化を!

《財務》目標は具体的に測定可能な数値化を!

中小企業で財務を管理する役員クラスは目標管理を兼務することが多い。あるいは経営企画という部門があり財務にかかわっていることも多い。

会社としての年度目標の設定、具体的な行動方針を社員に示し、それを元に各部門が年度目標を立てる。その年度目標を達成するための基礎として個人目標がある。

会社も部門も個人でも目標という明確な測定可能なバーがないと越えることはできない。目の前に明確なバーがあるから越えられるのは走り幅跳びと同じことである。

試しにバーを外して飛んでみればわかる。目標がなければ高い成果を上げることはできない。ジャンプするために踏み切る場所すら見当がつかなくなるであろう。

毎期各部門より経営企画室に部門目標が提出される。内容は吟味してみると抽象的な変更にとどまっているものがある。

しかしここで見直しを行いきちんと文章化することが非常に大きな価値がある。誰しも前期の状況を見て良しとしているわけではない。行動を具体化し形のあるものにすることが次なる行動のプロセスにつながるのである。

部門目標がいかに部門内の部下の目標に落とし込まれるかが重要である。

部門内の落とし込みは敢えて部門長の責任とする。

目標は形式的な飾りではなく達成責任を伴うものである。ここを外しては事業計画、予算は成り立たない。財務としての設計ができなくなるのだ。

目標設定には売上だけではなく製造原価や費用も予算化し予算差異を問う形を目指すべきである。

昨対比較ばかりして目標管理がおろそかになるのが中小企業の常である。

目標を設定しておきながら、昨対という隠しバーで自己満足していては勝ち残れない。中堅企業を目指してステップアップするには、目標達成の責任を幹部が自覚すること、ここを押さえなくてはならない。

購買業務には全体的視点と合理化の視点が必要!

《購買》購買業務には全体的視点と合理化の視点が必要!

◆利は元にあり

購買に関することわざに『利は元にあり』というのがある。購買こそが利益を生み出す元となるというような意味で使われることが多い。

購買の業務は原料や商品を仕入れるだけではなく、仕入れの工夫をするだけで利益が生まれることもある。

例えば社内で詰め替えていた商品をメーカーに小分重点を指定し直送に切り替えるだけで製造のコストは削減できる。

製造という部署は自分のいやっている作業しか見えない。それゆえに実直に作業はするが無駄な作業に気づくことは難しい。

しかし購買は立場上全体を見渡すことが可能である。しかし現場に足を運ばないと無駄な作業は見えてこない。製造現場が気が付かない無駄な作業が常態化していたとすれば、購買は気が付かなくてはいけない。

部署が違うからというようなセクト的発想は購買にあってはならない。

購買は会社としての最適という視点で物事を考えなくてはならない。

そうでないとうっとうしい交渉を押し付けられたように思うであろう。

◆購買業務の胆は合理化

購買は難しい交渉をまとめるのが仕事である。欲を言えば製造の現場にもう少し興味を持ち、視点を向けるとこれまでと違った角度で無駄を排除し合理化できることが見えてくる。

ある会社の年間700件超の改善提案などを見ているとそういう購買のさじ加減で改革できる合理化案件が山のように見受けられる。

購買担当者が事として見ることができるかどうかがポイントではないだろうか。

◆購買は三方よし

購買には社内的視点のほかに仕入れ先に対する姿勢も求められる。わかりやすいのは近江商人の経営理念である「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考えである。利は元にありと言うけれど三方よしともいう。購買はバランスが大事だということを申し添えよう。

長期不良在庫と再生ルールの怪?

《製造》長期不良在庫と再生ルールの怪?

中小企業の現場や工場を訪問すると机上ではわからない問題があらわになってくる。

特に繁忙期に工場や倉庫内に入ると繁忙期の対策もさることながら現場の実態、在庫状況、特に不良在庫が見えてくる。

時間をかけ念入りに確認し問いただしていくと廃棄すべき在庫と再生放置品が山と出て来ることがある。

食品などの製造メーカーは不適合品も再生という独自の理屈で良品としての製品に変換してしまう。家庭で言えば残り物で野菜炒めを料理するような具合だ。

ゆえに不良在庫化していても、いつか再生利用する予定であるから倉庫の奥やラックの最上段に押し込めて忘れてしまうことがある。

それを決算などの棚卸で指摘を受けあわてて再生する。一般消費者からすれば不思議な処置である。賞味期限はどうなっているのかと思うのも当然である。

◆再生ルールは工場都合

実際の現場では再生すれば賞味期限もリセットされるという都合のよい理屈がある。

これが不良在庫を大量に保存してしまう要因になっている。システムで在庫管理をしていればこの手の長期在庫は不良在庫としてリストアップ可能であるのだが、これを管理し長期在庫を指摘し指導するものがいないのが中小企業の悲しさである。

再生ルールというものがある、文書化してしまうと何かと問題になってもいけないので暗黙のルール化しているところが多い。

しかし経営という視点からすれば、食品製造業では品質的に基準を守りつつロスを少なくしていくことが利益につながるのである。

言ってみれば再生放置品であるが、これはため込んでしまうと処理が一層難しくなる。また長期にわたって動かない在庫で倉庫を占有されることになり、倉庫料ロスも無視できない大きさとなる。

◆長期在庫は利益を失う。

一般的に粗利が23%あっても3か月保管すると倉庫費用で利益が飛んでしまうと言われている。保管期間6カ月超ともなれば破棄したほうがましということになる。ここに不良在庫の倉庫占有は現場でしっかり押さえていく理由がある。

◆棚外処理は資産の隠ぺいに当たる。

もうひとつ言っておかねばならないことがある。製造工場の在庫の中には棚外、あるいはノーカウント品がある。

これは全くおかしい。言わば会社の資産の隠ぺいである。会社として在庫はすべて棚卸して報告するよう指導してきたが実践されてない。

棚外は廃棄を前提としている。廃棄すべきかどうかは会社側が報告を受けて財務的に判断するべきものである。工場長といえども、無断で棚外という処理をするような場合は管理責任者の責任を問わねばならない。

未登録PBは撲滅せよ!?

《情報システム》未登録PBは撲滅せよ!?

システムに登録される商品コードと商品名は本来ユニークであるべきものである。

ところが中小企業ではシステムの整合性より営業の要求が優先されてしまい、同一商品コードで複数の指定がある場合がある。

未登録のPB製品がまかり通るのは得意先ごとの特殊仕様をPB扱いとして別の商品コードで管理せずに、現場の記憶に依存して出荷を始めることに起因する。

◆未登録PBは出荷ミスの原因になる。

この登録されていない特殊仕様のPB製品はどんどん拡大し正常な出荷業務をむしばんでいく。人が変わればついていけない。人の記憶に頼る無責任出荷である。

未登録PB製品は別名闇PBとも呼ばれ、もともとルールに疎い頃、自社のNB品名をPBに転用したところに間違いがある。

これはPBとかNBの意味、留め型管理、在庫責任、包装資材の版管理責任を理解できない規模の中小企業が得意先の言いなりに便宜を図り既得権化したものである。

いわば庇を貸して母屋を取られた格好である。この問題はよく見かけるが中小企業の大きなリスクになる可能性がある。安易に考えてはいけない。

◆NB製品、PB製品、留め型、固有記号を明確にする。

NBとPBをはっきり分けて考えることを営業も徹底する必要がある。商品コードには一つの仕様、一つの原価、一つの工程がある。条件が変われば新たな商品コードを登録して区分管理する必要がある。

NB製品に個別条件を付けてはならない。個別の条件が付けばPB製品である。この問題は歴史的に大量の闇PBを生み出し現場当者の記憶に頼り属人的に管理されてきたため、人の異動があるたびにリスクが発生してきた事例はあちこちにある。

これはどの会社においても製造部だけで解決できない問題でもある。闇PBをなくしていくということは会社の方針であり、営業はお客様にお願いし説得する責任がある。

◆闇PBは営業に責任がある。

営業は趣旨を理解した上で最大限の協力をすべきである。営業にとって未登録かどうかはどうでもよい事柄であろうが、現場のミスはそうはいかない。出荷ミスにつながる未登録PBを放置していては企業はと次のステップには上がれないと考えるべきである。

実際この未登録PB問題を克服した会社を見てきたが容易なことで道は開けない。なぜなら未登録PBは顧客に商品をPBであると認めさせ、商品コード及び品名が変更になる事を伝えなくてはならない。

未登録PBの整備と撲滅は中小企業にとって大問題であるばかりでなく、ステップアップするためには必ず乗り越えなければならない最重要課題と言えるであろう。

営業予算管理は「最悪でも予算達成」に置く。

《営業》営業予算管理は「最悪でも予算達成」に置く。

どこの中小企業でも予算が思うどおりに達成できるということはない。

仮に最終的に予算が達成できたとしてもその過程においては、果たして予算が達成できる
であろうかという不安が何度も頭をもたげるのが普通である。

営業が持つべき気概は「最悪でも予算達成」という気持ちである。予算達成を最高目標に置いているようでは、予算達成はおぼつかない。

中小企業の予算編成は積み上げ型というよりトップダウン型がほとんどであろう。

積み上げ型で予算を組めば期待数字になる事はないのが普通である。予算数字を得先ごとに組み上げていても所詮は根拠のない数字に思えてくる。

しかしやりくり工夫を重ね、紆余曲折を経て予算は達成される。後で考えてもどうして達成できたかわからないこともしばしばあるものなのである。

トップダウンとボトムアップがかみ合った予算ならまだ納得性もあるが、トップダウンの予算では、期中では大きく未達になることもある。

例えば営業部の修正部門目標によると下期において上期の不足分を補うためには本社営
業部で作対の137%、東京営業所で122%を達成しなければ予算を達成できないとの報告である、というようなことも起こってくる。

そうすると営業会議では、現状では上半期を終えての予算の達成率は89%であるから下期の負荷は相当大きなものとなっている。これだけのことを絵に描いた餅に終わらせないためには行動の効率化を念頭においた営業改革が必要であろうと思う、というような話が始まるのが常である。

こういう事態に立ち至った場合は、期首と同じように販売予定先をリスト化し予算数字を入れればできたような気になるかもしれないが、それでは同じことの繰り返しである。

大事なことは、いつも言うことであるが、営業は数字の管理をするだけではなく営業活動のプロセスを管理することが重要である。

営業だけに任せていると、修正部門目標では具体的な営業活動のプロセス改革が見えてこなかったりする。

何と言っても営業は会社のリーダーである。営業が元気なければ会社は伸びない。

製造部門や間接部門も営業に引っ張られて成長していくのである。営業に対する期待は大きいと言わねばならない。

営業管理の要諦は「最悪でも予算達成」に置くことを習慣化することが重要である。