中小企業こそ調達計画が重要。

《購買》中小企業こそ調達計画が重要。

中小企業では売上と粗利予算はあっても次期の予算計画まで立案しているところはまだまだ少ないと言えよう。

売上と粗利目標に対応する予算計画があり、手間はかかるが毎月は予実管理を行うのが正しい管理である。

 

多くの企業の実態を見ればほとんど昨年度対比較に終始している。それがいけないとは申し上げないが、経費予算があっての企業戦略である。

ただ企業というものの根本原理は

「入るを量りて出ずるを制す」

であって、ここを誤らなければ利が残ることになる。しかし出ずるを制し続けていると企業の活力が失われることにもなりかねない。

何事も匙加減ということはある。

通常は財務から来期に向けては、販売、製造原価、経費を予算化して実績数字との比較ができる仕組みを構築するものである。

当然ながら予算化の中に調達計画が含まれる。購買の調達計画を予算化しないことには骨子ができない。

出たとこ勝負で原料調達をしていれば在庫が制御できずに決算に狂いが生じることもある。

しかし買いを抑制していると製造が判断を誤ると欠品の要因ともなる。それゆえに購買は売上予算と財務のキャッシュフローを勘案した調達計画を持つべきなのである。
調達計画ができていない企業の購買に一度調達計画を作成してはどうかと進言することはよくあることである。

もちろん工場の製造計画と同じで計画通りにいくことはないが、そこ に差異が発生することで問題意識が起こり長期的により良い調達へ進化することができるはずである。

「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」である。

《全部門》「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」である。

多くの中小企業は不思議なことに会議で決定したことの実行確認を取らない。

それどころか案件ごとの責任者を明確にしていなかったり、実行の期限を定めていなかったりするケースも少なくない。

ところが壁には

PDCA(plan-do-check-action)の実践

という巨大ポスターが貼ってあったりする。

あまりに会議での決定事項がなおざりにされるので、ある中小企業では会議決定事項の進捗管理を行い、実行報告を提出させることとした。

しかしもともと意識が根付いていないと会議での言い訳が先行し、未決着の案件が累積される結果となる。たまる一方なので清算するために期末にリセットするほかなくなったが、一度リセットするとそれが根付いてしまい、実行管理そのものがおざなりになる。

責任意識が未成熟な中小企業では、目の前の日常業務以外は先送りされ、うやむやになり安い。その結果、後に再度問題化するケースがある。

日本電産の永守社長は言っているが「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」である。決めたこと指示されたことが何故できないのか。

この要因を徹底的に分析し、即実行の脳回路を刻むように繰り返し「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」を教育し続けることが重要である。

取り組むこと、始めることでやるべきことが具体的に見えてくるものだ。

通常どんな人でも程度の差はあれ、覚醒状態で眠っている。

改善提案やBC検定、5S活動は目を覚まさせる仕組みである。

目を覚ませば自分がいかに狭い範囲に固執しているか、やり方や進むべき道は数限りなくあるのにも関わらず、行き詰まりを感じていることに気が付くはずである。

部下に課題を与えその指導をしていくことは目を覚まさせるためには重要なことである。目を覚まさないと知恵は浮かんでこないもである。

中小企業にとり衆知を集めた会議の決定は、どれも重要な案件であり放置することが許されるものではない。眠りこけてい ないで目を覚ましていただきたい。

中小企業はルールに疎い。

《営業》中小企業はルールに疎い。

中小企業というものはルールや決め事をしても継続して順守することが出来ない。

しばらくするとイレギュラーを営業が押し込み、製造がシステム管理外で無理を
聞いてしまう。

この結果、余計な原価が上乗せされ、記憶に頼る手間が発生し、事故リスクが高まるのである。

中小企業では顧客圧力に弱い製造メーカーは決められた手順を踏まずに、NB製品の仕様を顧客要望の仕様に変更し、規格書はそのまま、商品コードもそのままで出荷しようとする。

NB(自社製品)は顧客仕様に変更すれば、それはPB製品として別の商品コードで管理すべきである。これが理解できないのが中小企業の管理レベルなのである。

言ってみればNB製品の顔をした闇PBというべきである。言い方が悪いというならも未登録PBとでも名付けようか。

くどいようだが中小企業はどこもルールに疎い、NB品名をPBに転用したところに間違いがあることに気づくことすらない。

こういうことを繰り返していると、いわば庇を貸して母屋を取られた格好である。間違いが発生しない方が不思議である。この問題は中小企業の大きなリスクになる。
基本的な考え方は、NBとPBをはっきり分けて考えることを営業も徹底する必要がある。商品コードには一つの仕様、一つの原価、一つの工程がある。条件が変われば新たな商品コードを登録して区分管理する必要がある。

NB製品に個別条件を付けてはならない。

個別の条件が付けばPB製品である。この問題は中小企業に大量の闇PBを生み出し現場担当者の記憶に頼り属人的に管理されてきたため、異動があるたびにリスクが発生してきた。この事例は枚挙にいとまがないほどである。

これは製造部だけで解決できない問題でもある。どの中小企業でも闇PBをなくしていくということは会社の方針であるべきであり、営業はお客様にお願いし説得する責任がある。

営業は顧客第一を振りかざして抵抗を試みるだろう。しかしここは乗り越えなければ次のステップには上がれないと考えるべきである。

実際にこれを整備し乗り越えるのに数年を要した事例がある。

一度許容したものに対し再び縛りを入れることは、想定以上の苦労が伴うことはその事例が証明している。

製造の実態はデータで議論。

《製造》製造の正確な実態はデータで議論することが重要。

製造を管理する場合、正確な実態はデータで議論することが重要である。

システムからは蓄積されたデータとして製造現場に資料を提供する仕組みはあっても、残念ながら各工場が今のところこのデータを読み解き加工し生産性向上に役立てるだけの意欲と技術が伴っていなケースが散見される。

データを活用するときはデータに基づいた改善のための仮説をたてて現状(As-Is)将来像(To-Be)に至るまでの”実現可能 なステップ(Can-Be)”を明確にすることが肝要である。

データ分析の例を挙げると以下のごとく改善の結果が検証できるし次なる目標も設定可能になる。

中小企業の製造現場では誤った管理数値を後生大事に報告して事足れり、としている管理職を見かける。

工数を管理するとき、生産性を数値で比較するためには一日“なんぼ”できるかを聞いてはいけない。この誤りはベテラン社員にも往々にして見かける。

生産性というものは、時間管理を軸とした工数を比較して初めて生産性の比較が可能となる。注意すべきことは、昨年度の実績と比較しても生産性の分析はできない。

なぜなら昨年度の工数実績は基準となる数値より上か下かが判断できない。大事な視点は標準工数との比較のみが価値ある情報となるということである。

生産性を確認するためにはその製造に直接後付けできる直接作業時間を考えないといけない。他の製造に関与した時間は含まれない。何名で行ったかも確認しないといけない。

一人で1kgを製造するのに要した時間が工数であり、この基準以外に異なる原料と異なる製造ラインンの生産性を正確に比較することはできない。

そのことを前提にして抽出されたデータを実際の生産計画や製造指導にどのように活用するかを具体的に組み立てないとデータを役立てることはできない。

今はまだデータを眺めているだけの段階であるが、この意味と真の価値に一刻も早く
気づいていただきたい。

売上の5原則、付加価値の構築。

《営業》売上の5原則、付加価値の構築。

いずこの中小企業でも営業活動の結果が利益を生み出すわけであるが、戦略的な利益確保計画とそれを実践する営業活動のプロセス管理ができていないと利益の回復のきざしは見えてこない。

期中に今期の営業利益を予測して、このままで行くと今期の営業利益は赤字の可能性が高くなっていることがある。原料原価の高騰や生産性の低下、粗利益率の低い仕入れ商品の販売率の増加などの要因は多岐に及ぶのが通例である。

利益回復を目指すとき、価格改定や自社製品販売強化はもちろん重要であるが、営業的には利益を確保するための戦略を再構築する必要があるのではないだろうか。

この際のポイントは他社にはないが、自社にあるものに焦点を絞ること。自社にもあるが他社にあるものでは付加価値を付けることは難しい。

大手相手の案件であれば規模が大きくなり、売上的には貢献するが利益という面ではなおのこと価格競争は完全競争に限りなく近づくことになる。

中小企業では企業規模からしてターゲットとする市場に問題がありはしないだろうか。一発逆転を狙うのは営業の本性であるが、利益の低下している局面では適切な戦略とは言えないだろう。

敢えて申し上げるなら最大の強みに焦点を絞ることが大事なように考える。

売上の5原則

1)新規顧客の獲得
2)顧客の流出防止
3)購買頻度向上
4)買上点数の増加
5)1点(1商品)当たりの価格向上

を考えつつ自社の強み、顧客ターゲット、競合商品などを考えていくこと、そして上記の5つとどう組み合わせるか、戦略と整合させそれを効果的・効率的に行う方法を考えることが必要なのではないだろうか。

今目指すべきは粘り強い推進であり特定領域における競争優位の確立である。そのピンポイントを外して営業利益の回復は不可能である。

付加価値と自社の強みの視点で今なすべきことを認識しそれを行動に移すことが最も重要である。

中小企業のシステム構築は難儀。

《情報システム》中小企業のシステム構築は難儀する。

中小企業のシステム開発は難儀する。

システムの導入を単に利便性の向上に求めてしまうために、現場のやり方そのものをシステムに無理やり移植しようとする。現場はシステム導入による手順の変化に頑強に抵抗する。人間慣れと熟練という機能がありいかに便利であろうとも慣れ親しんだ仕組み以外には積極的に取り組もうとはしない。

販売管理システム、生産管理システムは現場の不合理な逸脱を認めることが出来ない。デジタル処理されるものであるからあいまいな判断は許容できない。そこに現場とのかい離が発生し抵抗力となる。うわべだけは納得したように見えても現場に行くと執拗に旧手法の仕組みを残そうとしている場面に出くわす。

そういう場合は説得して納得させて、その資材や作業道具、記録用紙を取り上げることまでしないとシステム化は難しい。あくまでも手書きしようとすればそのペンは力ずくでもおらねばならない。

理解が進まないままに導入すると、管理すべきデータが適切に収集できないようになる。

例として挙げるなら包装資材や原料の変更を安易に行ってはいけない。それはそのまま製品原価に影響を与え場合によってはコスト増になる。変更する場合は常に見積原価計算を見直し、コスト増は抑制しなくてはならない。すべての変更はシステム登録に変更を伴うことを意識していただきたい。

システム管理は財務や営業の粗利管理に直結していることを理解させなくてはならない。

変更したことをシステムに登録しなければデータとして反映されない。現場にいうべきことは 、変更の結果は当然ながら財務に影響を与えることをご理解いただきたいということである。

システムを導入する前の状態はまさに属人的な情報構造である。

その情報をどこにどのように落とし込むか、どこと共有すべきか、ここを幹部社員に完全に理解させなくてはならない。、システム的な整合性を意識していれば誤りは防げる。

結論的に申し上げるならば、幹部たるものまずシステムありきでなくてはならない。

中小企業と言えども昨今では企業規模からも扱う物量から情報は、システムに集約し管理する以外に方法はない。不整合を指摘される前に徹底的な意識変革をお願いしたい。

タテヨコ質問は問題解決の第一歩

《総務》タテヨコ質問は問題解決の第一歩。

問題解決の技法として「タテの質問」で掘り下げ、「ヨコの質問」で全体像をあぶり出す方法がある。

本当の原因「真因」を発見するにはトヨタの大野耐一氏の 「なぜなぜ5回分析」が有名である。

 

タテの質問をなぜなぜと5回掘り下げることで本当の問題を見つけることができる。

しかしそれだけでは複雑に絡み合った問題を解きほぐすことができない場合がある。「タテの質問」でほぼ解決策が見える原因が見つかったら「ヨコの質問」をすることが肝要である。
「ヨコの質問」は問題の全体像を把握することが目的である。問題の何を解決すれば満足できるのか、その原因が解決できると、この問題はすべて解決できますか?と問うことで視野が拡大され漏れがなくなる。

タテの質問5回、ヨコの質問に転じてその原因が解決できるとこの問題はすべて解決できますか?である。是非試していただきたい。

多くの中小企業では問題が発生すると原因を人に求める。

特に中小企業の経営者にその傾向が強い。人に原因を求めていけば、当人に責任を取らせるなり懲罰を加えればおしまいとなる。

ところが実際は原因の多くが環境にあり、その原因の根本に設備や労力追加などの対策を意図的に怠る経営者が存在する。犯人捜しを行う理由は真犯人を隠蔽することにあると言えなくもない。

問題の真因を追求する手法や仕組みはあまたある。タテヨコ質問に限らず、是正といえば真因を探しその原因を除去し再発しないことを確認することである。

真因を追求しすぎて経営者を除去するようなことでは本末転倒の笑い話になるが、再発させないための本当の原因は深くて大きなところに存することがよくあると言わねばならない。

タテヨコ質問は効果があるが使い方を誤らないことが必要である。

工場管理者の聞き力を高めよ。

《製造》工場管理者の聞き力を高めよ。


中小企業ではオーナーや工場長の発言力が強すぎて、会議の場で部下の意見が出ないことがよくある。聞かなければ発言しないし、本音を聞くと「どうせ言っても何も変わらない。煙たがられて評価が下がるだけ。」という声も聞こえる。

工場管理者が部下の意見を真摯に聞くことで、工場の定例会議等では担当リーダーが自分の意見を積極的に発言するようになってくる。

これが浸透すると意識改革という意味では非常に大きな前進である。

中小企業の製造現場を変えるにはどうしても自ら動く自律型の人間を育てなくてはならない。なぜなら工場管理者はすべてを見ることはできないから信頼できる部下に依存するほかないのである。

意見が採用されたり、上司から褒められると、部下の報告書の記載内容も前進が感じられる内容となるものなのである。

ピンチとチャンスは相対的なものである。今の状況をチャンスであると人間の意志で決めてよい。すべての壁は自分が作る。過去のやり方、知識、経験が通じないのは今までにない新しいやり方を発見するためだととらえればよい。

他人に原因を求めると問題はもともと解決しない。原因は自分にあると思ったときに解決への道は開ける。

工場管理者はこの点を肝に銘じていただきたい。

一言で言えば「聞き力を高めよ。」ということになる。

自社の強みを活用し優位性を築く戦略。

《営業》自社の強みを活用し優位性を築く戦略

中小企業は毎期、期末近くなると着地点を予測し試算表を作成する。すると多くの企業では営業利益は残るかどうかというレベルである。

 

前期は実質営業利益が赤字となっており、今期赤字となれば、本業では2年連続赤字ということである。このような事態は財務基盤の弱い中小企業では、企業の存続において重要な事態として深刻に受け止めるべきである。

理由はいろいろあろう。

為替の変動をそのまま価格に転嫁できる程、値上がそれほど簡単なものだと考えている企業があるわけでもない。

しかしながら企業の財務状況は厳しく、非経常的な営業外収益は期待できないことがはっきりしている。

多くの食品加工メーカーは川上の原材料高騰と円安圧力に押し込まれ、川下からは競争激化による値下げ圧力に圧迫されて板挟みの厳しい状況になっている。今後それはますます食品加工メーカーの経営を悪化させるというのが大方のシンクタンクの予測である。

この予測をもとに中小企業は今後どのような戦略で今後の方向性を決めていけばよいか、ここでしっかり熟慮する必要がある。

優位性のない製品では価格競争の中で利益を得ることがますますできなくなる。

特に大口の受注には利益確保が一層困難になると考えられる。

今考えるべきことは特定の領域における競争優位の確立である。

消費構造の変化、安全安心意識の高まり、シニア世帯・単身世帯の増加等の変化に対応した商品開発、販売戦略、価格戦略が必要である。

そこに他社にはない当社の独自の強みをまぶしこんで優位性のある付加価値を提供しなくてはならない。

各社とも自分たちでは気が付かない独自の強みがある。どの会社にもこれまで培ってきたノウハウと顧客ネットワークがある。自社独自の技術や熟練の社員がいる。よく見極めてみれば他社にない強みが根底にあるから今日まで営業を続けてこられたのである。

ここをあぶりだすこと、わからないようならお客様に問えばよい。どういう理由で弊社とお取引をいただいているのですかと。

これまでデメリットとしてとらえていた多品種少量対応、融通調整力、即日出荷対応などはお客様の目から見れば自社の強みに転化していることに気づくはずである。

ずば抜けた商品開発力があるわけで無し、プロモーションコストが湯水のように使えるわけで無し、潤沢な設備投資や飛びぬけて優秀な営業がいるわけで無し、とすれば、気が付かない自社の強みに気が付き、これらを活用し優位性を築く戦略以外に勝ち残りのすべはなかろうと判断できる。

営業は人間力である。

当面は粘り強い価格改定の交渉努力で赤字幅をできる限り縮小し、次期には特定領域での競争優 位を創出する戦略を構築しなくてはならない。

目標管理の在り方、部下の意識改革。

《経営》目標管理の在り方、部下の意識改革。

期首には各部門よりしっかりした目標が上がってくる。当然経営陣はこれがすべて確実に実行できればすごいことになると思われる。ところがふたを開けるとそうは問屋が卸さない。

月々の会議では未達の言い訳がオンパレードになる。責任の所在まで他部署になすりつけるのが当たり前になってしまう。どこかの知事と元知事のように非難の応酬となる。

こうなると目標管理どころではなくなる。

大事なことは、目標は作成するために非ず、実行して結果を出すためにある。

しかし多くの場合、目標を日常の業務活動に落とし込むことは容易なことではない。定型業務と変革を求める目標はコンフリクトを起こすのだ。

これを前にすすめ、目標達成にまい進するためには、意識改革と行動の変革を必要となる。ここが一番肝心なポイントである。

目標を作成したらなんとなくできたような気になり、翌日には忘れているという繰り返しを脱しないと目標にこだわる意味がない。実際翌日に目標を反芻することはない。

部門責任者ですらその程度なのだから、部下に至っては飾り物の絵に描いた餅になるのはやむを得ない。それを乗り越える手法は、部下に対し意識改革を求めるため声掛けを頻繁にすることである。

部門長がこの目標を必ずやり遂げるという熱意と情熱を繰り返し言葉で伝え、執念を持って部下を日々フォローすることが必要である。

目標レベルが高くなると本人の意識改革なくして達成はない。