食品製造業はクレームに敏感になれ!

《製造》食品製造業はクレームに敏感になれ!

気温が上がり虫等の異物混入や腐敗変敗などのクレームが多発する時期である。

製造においてクレームと食品事故を区別できていない企業多いが、その対応は全く異なるので意識的な区別が必要である。

概ねクレームとは大なり小なり食品事故である。近年食品事故は大事故化しこれまではお詫びで済んだことが大事となり回収事故に発展するケースも少なくない。

よって営業を含め管理者はPL保険の基本的な知識を押さえておく必要がある。

PL保険とは生産物賠償責任保険と呼ばれ第三者に引き渡した物や製品に起因して賠償責任を負担した場合の損害を、身体障害または財物損壊が生じることを条件としてカバーする賠償責任保険である。

ポイントは補償の対象とするには直接損害が必要であり 財物損壊を伴わない使用不能損害は対象外であるということである。

食品業界に限定してもっとわかりやすく言うと「食中毒保険」ということになる。異物や腐敗が問題ではなく対人保障として食中毒などのために治療や入院費用が発生し損害賠償を求められた場合に保険適用になるということである。

第三者の身体障害、対象生産物・製品の財物損壊のいずれも伴わない損害は対象にならないということが原則である。

多くの中小企業は中小企業PL保険制度に加入している。

PL保険としては対人対物1億円、リコール特約を付加しており3千万円を加入していたとしても、リコール特約は微妙な判断を含んでおり生産物の自然の消耗または性質による蒸れ・カビ・腐敗等は対象外となるが、賞味期限の誤表示はリコールの対象となる場合があるという言い方になる。

リコールには厳しい条件が付いており行政庁に対する文書による届け出、リコール実施についての行政庁の回収命令、新聞等の公共媒体による社告が条件になる。

すなわち得意先から言われて行う私的な回収は条件的に保険の対象としては無理があるということである。

食品事故の発生やリコールの恐れがあるときは保険会社に連絡することが条件であり遅滞なく報告する必要がある。また時系列での記録、証拠写真等の資料も必要になるので、気を付けていただきたいところである。

営業は粗利管理をすべきである。

《営業》 営業は粗利管理をすべきである。

当社はこれまで営業に粗利管理を求めてこなかった。それは総合原価計算を採用しているため製品別の売価は本社側で決定されており粗利は営業には管理できない状況であったからである。

営業は売上のみを追求すればよい仕組みである。

製品別原価計算は、これを個別原価計算総合原価計算とに分けることができる。

個別原価計算とは建設業や印刷業の様に受注単位ごとに見積原価計算をし売価設定を行う業種であるが、製品メーカーは総合原価計算を採用しており、1原価計算期間における製品のすべての原価を算定し、次にこれを製品ごとに分割してその原価を計算する方法をいう。

同種製品を反復継続的に生産する場合は、この原価計算方法により製品原価を計算する。総合原価計算の企業の場合、営業に粗利管理が根付かない傾向がある。

これが原料価格等の変動による価格改定が遅れる要因の一つとなったと考えている。

粗利管理は大まかに「事前」と「事後」の粗利統制の二つに分類出来る。「事前」の粗利統制とは、事業計画・予算と連動して事前に製品別・得意先別等に粗利予算を決めておくことである。

営業担当者の行動原理としては、契約を取れるように(売上予算達成のため)できるだけ他社に負けないような低価格の見積りを出そうとする(機会利益の喪失)。

それを防ぐために売上高だけではなく営業担当者別の粗利管理も必要である。

ただ、端的に粗利管理と言っても営業の管理者が「最低で20パーセントの粗利は取るように」と営業担当者に単純に指示すれば、営業担当者の行動原理としては売上高予算達成のために20パーセントというハードルに極めて近い粗利を設定し、その結果として本来得られたはずの粗利が失われることもよくある。

従って営業会議等ではきめ細かな製品別等の粗利の目標設定を指示をすることで「機会利益の獲得」を目指す必要がある。

一方、「事後」の粗利統制とは(製品別・得意先別等の)事前の粗利統制の結果を売上・粗利等の損益データを中心に分析し、その後の営業活動にフィードバックすることが必要である。

重要なことは、営業担当者別に粗利の分析をして達成状況を確認することである。評価基準として売上高だけではなく粗利にも重点を置き評価の両輪とすることが会社の方針である。