コロナ危機での安全在庫と許容欠品率。

《製造》安全在庫と許容欠品率。

世の中はまさにコロナ危機まっただ中である。緊急事態宣言が一部のエリアを残して解除されたが、経営危機がクリアできたわけではない。それどころが外出自粛は継続し生活行動が変わってしまうと消費パターンも変わってしまうと考えなくてはならない。もはやコロナ前の景気や消費三昧には戻れないことを覚悟すべきである。新しいコロナ後を見据えて徹底的なダウンサイジング経営が求められるであろう。もちろんそれまで持ちこたえられれば、であるが。

◆余剰在庫の見極めが難しい。

すでにコロナ前に製造した製品の残りの賞味期限は短くなってきているであろう。このままでは余剰在庫が多くなり、最終的には廃棄処分などの選択肢を検討せざるを得なくなり、無駄な管理コストが増えると予想される。しかしコロナ後を見越した製造をすすめないと在庫が少ない場合は欠品による機会損失が発生する。いかなる事情があっても特にメーカー相手では生産計画に狂いが生じるから、本来欠品は厳禁であるはずである。今ほど製造予定を立案するのに悩ましい時期はない。製造計画を立案するために参考にする昨年実績も、営業情報も参考にならない。見込みが見えないと原料調達も難しくなる。原料がなければ製造はできないが、原料にも賞味期限がある以上、慎重な判断を求められることになる。

◆ 欠品0は不可能。

コロナ危機にかかわらず、本来製造部門では完全に欠品0はあり得ないので、安全在庫から導き出される許容欠品率を設定し、合理的な考えに基づく在庫管理や製造計画を行う必要がある。現場はそれほど単純ではないので理論どおりにいかないことは承知のうえで、やはり管理者の勘にたよる在庫管理は限界があると思われる。とくに今回のような状況では製造現場の長だけに判断を任せることはリスクがある。

◆コロナ危機の在庫管理のあり方。

適正な在庫量は、製品ごとに一定の許容される欠品率を設定し、安全在庫を維持するような製造計画が求められると思う。しかしそれは平時でのことだ。コロナ危機での在庫管理は販売予測を経営者が指定し、それに基づく調達計画や製造計画があるべきである。部門責任者だけに負わせるにはコロナ危機での在庫管理は荷が重くなると考えるべきである。ただ経営判断として販売予測を立てて各部門に対応すれば齟齬はなくなるかもしれないが、判断を誤ると受ける傷も大きくなるので注意が必要である。

ち密な情報収集と綿密な予測、変化の兆しに合わせた柔軟な計画が必要となるであろう。

ジョブローテーションのメリットとリスク。

《製造》ジョブローテーションのメリットとリスク。

多くの製造工場では多能工化なる合言葉でジョブローテーションを進めている。聞こえはまあよいが、内情はいささかお寒いところである。

人は仕事を覚えるまではミスもするし効率も悪いものであるが、時間がたち習熟するほどミスも減り生産性も向上する。

ところが人は往々にして飽きる生き物であるため、転職や退職が発生し人は入れ替わる。

するとその都度、熟練の技術と暗黙知は失われ、リセットされる。それならばと計画的にリセットし仕事を広範囲に覚えられるようジョブローテーションを行うようになる。

例えばある工場で今回2名増員及び製造ラインの改修のめどがついた。しかし今後の営業からの製造見込情報はそれを飲み込んでしまう量が予想されている。

既に製造能力は飽和状態の中、時間延長でクリアしているが二交代で取組む場合はそのための人員が必要になる。

しっかりした年間製造計画とそれに見合う設備および人員投入計画を早急に立案するよう求めたい。こういう場合ジョブローテーションの入り込む余地がない。

改善提案で工場長代行自らジョブローテーションの実施を提案している工場もある。

製造現場における専任は技量的には高まるが、作業員の怪我や休みなどのアクシデントにもろく、何あると製造体制の脆弱性を露呈する。

ジョブローテーションは、趣旨を理解させ納得させてからでないと本人の負担増になりモチベーションを落としてしまう可能性もある。

工場全体の状況とジョブローテーションの狙いを説明し、自発的に取組むことができるようよう慎重に実行すことが大切である。意図するところをはき違えてジョブローテーションを強行すると製造現場が混乱するンなどデメリットが大きくなる。

ジョブローテーションはメリットとデメリットを押さえたうえで慎重に行う必要がある。

設備投資と工場の生産性。

《製造》設備投資で生産性が向上するとは限らない。

中小企業は設備投資を積極的にしないのが通常である。利益が出ても設備投資に回さず相変わらず老朽化した設備で非効率な生産を継続する事例が多い。

そういう工場が新規の機械設備を導入すると合理化できるどころか生産性が低下する場合がある。

ある工場では新たな設備が導入され作業が合理化された面はあるが、改善・改革がすすむと本来の適正な人員数が見えにくくなっている。設備投資を行った場合それを回収してさらに生産性を上げることで利益を出していく必要がある。

生産量を大幅にアップするとか効率化により労務費を削減するなどの成果が求められる。

◆ 機械設備とボトルネックが見えないと生産性は改善できない。

ところが現場では確かに導入した機械設備により生産能力は飛躍的にアップしたが、関連の製造ラインとそれに伴う人員配置がうまく機能せず新たなボトルネックの発生で生産量が増加したものの、人件費も増加している。

また新規の機械の生産能力が過剰になり、受注数のレベルに対応していないので稼働日数は月の1/3に満たない有様である。

その結果、無用な手待ち時間や手空き時間が増加し、目標とする残業削減の時期と設備投資による成果が出る時期とが必ずしも一致しないという新たな問題が浮上する。

新規の機械設備を導入した工場の残業報告を見ると昨年の実績と比べて削減できたとは言えない現状がある。機械設備は適切に制御され作業担当者が習熟し、作業の流れに無駄がなくなるまでは3か月から半年はかかると考えるべきである。

また合理化を指向する設備投資は将来の受注見込みとラインのボトルネックを見極め、精度の高いシミュレーションを繰り返しておかなくてはならない。

購買業務には外注加工の原価管理が含まれる。

《製造》購買業務には外注加工の原価管理が含まれる。

購買業務には外注加工を管理することが含まれる。

単に仕入れをしていればよいだけではない。相互に売り買いをするだけではなく、外注加工先として管理する必要も出てくる。

ところがこの外注管理がうまく機能していないケースをよく見かける。単に仕入れだけであれば複雑な仕組みは必要としないが、外注加工とするならば原料や包装資材を支給する場合があるし、その内容が有償か無償かでもずいぶんと取り扱いが異なってくる。

特にシステム設計や、原価計算に影響が大きく、一方では支給した原料の在庫管理も求められることになる。近年の食品安全マネジメントシステムでは定期的に外注を監査し、外注管理の記録をきちんと残しておかなくてはならない。これは人員の少ない購買では相当大きな負荷要因となっている。

◆ 外注管理のパターンは2種類ある。

外注加工品や仕入品に関しては大きく2種類のパターに分けられる。原料や包装資材を有償で支給(販売)し商品として仕入れる場合が一番わかりやすい。

ただし支給原料に利益を乗せにくい面があり売り上げは増加するが利益は低下する。よって外注加工への原料販売が増加するようなら要注意である。

今ひとつは原料や包装資材を無償支給する場合がある。この場合は外注加工賃を仕入れることになる。面倒なのは仕入商品を外注加工賃として仕入れるため、製造記録を作成し入力することで製品の在庫を発生させなければならないことである。

在庫単価を持つ仕入とするためには社内で支給原料から包装資材外注費を合算した製造記録入力をしなければならない。処理としては後者のケースが適切であるが、正しい運用が行われず、正確な在庫単価になっていないと思われる会社もある。在庫単価の評価は財務に影響を与えるので購買としての外注加工の場合の方針を決めて、在庫単価が明らかになる仕組みを構築すべきである。

購買の人材は財務や原価計算に明るいものが少なく、適切な処理が難しくなる。ここはシステム管理者や財務管理者が積極的に関与し、購買が提供すべき財務情報の正確さを担保すべきである。

工場は全体最適の視点で採用。

《製造部》工場は全体最適の視点で採用する。


ある工場では複数名の欠員が発生し厳しい状況となっているなか、最も多忙な時期を迎えることとなった。

社員の退社と言うのは突然起こるばかりでもない、予兆がありそれをコントロールしきれなくなると組織体制が崩れてくる。

採用活動は当然行うが、退社する社員の穴埋めとなるには採用決定までの時間と習熟までの時間がかかる。

特に中堅社員の場合、この穴が大きくなることがある。

そういう場合の毎月の会議では、十分な在庫ポジションの確保が難しい状況が報告書から読み込める。採用が仮にうまくいっても即戦力には間があるので一層厳しい状況も予想される。

他の社員の負荷が大きくなり、下手をすると不満が波及し事態が悪化することがある。それゆえ十分な説明をおこない乗り切れるよう協力を要請することである。

またこういう場合は、複数の工場があるなら製造部全体で情報を共有し全体最適の視点で協力しあうようにお願いすることである。

決して退社者によるひっ迫した工場だけで問題を抱え込まないように積極的に相談することが大事である。

ややもすると自工場だけで乗り切ろうと無理をするし、他工場は余力がないかもしれないが、こういう時こそ力を合わせて、問題が起こる前に事態を予測し先手で対策を講じる必要がある。

全体最適の視点はセクト主義があると困難を伴うこともあるが、これを打破してこそ効率的な製造が可能になるのである。

工場の5Sを停滞させるな。

《製造》工場の5Sを停滞させるな。

ある工場の残業が指導により減少していることは好ましいことであるが、幹部の報告書の中身は解決策と期限を示せておらず中途半端な反省の弁が目立つように思うことがある。

結果として残業は削減できたが、計画的な結果ではないと言うことだ。

こういう工場の場合何かにつけてアンバランスである。コンサルタントとしてはとくに工場の5S活動を停滞させてはならないという指導をする。その結果。水準が低い工場が5S活動発表会での1位になることがある。ところが評価内容が一位だったわけではなく伸び率が1位であったということもある。

その工場はどう見ても基礎的な5Sの水準はまだまだ低いと言わねばならない。

工場における5S活動は、5Sリーダーに任せておくだけでは成長しない。

部門の責任者たる工場長がリーダーシップを発揮して5Sリーダーを強力にサポートしなければ成果は期待できない。

従って工場長の意識する水準以上の5S活動は生まれない。

工場長自らが問題意識を持ち他部門や他社の事例を取り込みながら何が足りていないのかを考え指導実践することが重要である。

再度5S活動発表会で優勝ることを目指すような意気込みを指導し期待することになる。

システムが使えない製造管理者.

《製造》システムが使えない製造管理者は失格である。

関与先の工場の報告書は以前と異なり目に見える成果が具体的に記載されている。

各所で改善が進み生産性の向上やリスクの低減に期待が持てる内容である。一方で機械のメンテナンスや取り扱いの誤りにより故障やクレームを発生させている。

製造において何らかの変更を行う場合は、目に見えないリスクが潜んでいることがある。また検証が不十分であると思いがけないクレームにつながることがある。

その会社の経営方針は顧客第一・品質第一である。全く素晴らしい経営方針であるが、社員に浸透していないとコンプライアンスもモラルも定着しない。

人の理解度を見ずして短兵急な合理化や改善を進めることは、慎重でなければならない。また改善を進める中で製造手順や工数、包装資材の変更に関係する情報は逐一システム側に連絡すべきところであるが、これができない製造管理者が多い。

企業規模が中途半端であると製造現場の理屈がシステム管理を凌駕してしまうことがある。ここは現場に張り付いて、システムを軽視するような行動や記録は徹底的につぶさなくてはならない。安易な妥協は致命傷となる事を肝に銘じるべきである。

中小企業の製造現場というものは合理化とシステム化という相反する目的を同時にすすめなくてはならない。そういう場合最も障害となるのは古参社員と製造管理者である。しかし製造管理者はある一面では工場の改善に一生懸命取り組んでいる。しかしうわべだけの取り組みになり本質的解決に至らない。

システムのデータを活用できないアナログ管理者ほど扱いにくい。どうしようもない場合退場を含めて対応を検討する場合もありうるのである。

工場の体制立て直し。

《製造》工場の体制立て直しと議論の踏み込み。

どこの企業の工場を見ても同じことであるが、うわべはすごく順調で何の問題もないように見える。

しかし一人一人にじっくりとヒヤリングを行うと実態がおぼろげながら見えてくる。

幹部が集う会議に出席すれば尚のこと真の実態が明らかになる。いくらきれいごとを言っていても、順調に見える工場にもそれぞれにレベルに合わせて問題山積なのである。

どこの企業の工場にも年間のうち必ず繁忙期がある。

繁忙期はキャパ以上の仕事をこなさないと通年での生産性向上は期待できない。

とくに多くのケースでは年末繁忙期対策という特別体制を必要とする時期がある。

この調整を失敗すると欠品につなったり、事故発生の要因につながるのである。

会議では工場体制の立て直しと年末繁忙期対策などという議題が躍っている。

ところが、多くの場合経営者の意思が強すぎると、議題に踏み込むことなく、なんら有効な結論を出さないままに次月まで持ち越している。

肝心の議論を持ち出すことで会議が紛糾したり経営者に口撃されるのを恐れるのである。こういう妙な会議は日本全国至る所で開催されている。

議題の本質を棚上げし、幹部が保身に走るがゆえに会議が経営者の独演会になり、死に体となるのである。

ところが各工場内で開催される定例会議では主任クラスの発言が相次ぐ。

彼らには現場の事情がつぶさに分かるから、年末体制の懸念や問題点を訴えるのである。しかし、工場管理者は本社での会議ではその内容を封印してしまうのだ。

これでは工場管理が機能していないと言わざるを得ない。

しかし現場は火の車、課題山積の実態は、クレーム処理、欠品対応、割込調整、製造応援で工場長が席にいることはない有様である。

当然、現場を改善する余裕は無く綻びを繕うだけで精一杯の自転車操業状態であると言える。残業も増加し現場が疲弊している状況が見えてくるようになる。

そこまでやっても年末在庫が確保できたとはだれも考えていないだろう。

残業は本来管理者が事前に命令するものであるが、追いつめられた工場では残業の後承認になる。

これでは工場の事情を勘案するまでもなく管理が手の内に入っていないことを感じる。

工場管理の責任者の仕事とはなにか、ここは明確に申し上げなくてはならない。

何が問題であり何が足りないのか、どうすれば工場管理を正常化でき年末繁忙期を乗り切れるのかを踏み込んで話し合わなくてはならない。

当然これは工場だけの問題としてとらえるのではなく全社の問題として全体最適の視点で取り組まなくては越えられない山であると思う。

経営者や他部門との間に摩擦が生じようとも、真剣な議論が必要である。

購買の報告書の在り方。

《購買》購買の報告書は具体的でなければならない。

購買の報告書は報告のための報告書ではなく、実務に即した実質的かつ具体的な内容である必要がある。

特に購買は会社の方針と合致した原料調達を行うため多額の資金を扱うことになる。

そのため思い違いが起こりやすくなり、購買という部署はややもすると独善的になりがちである。

しかし購買は製造部や営業部の意向を聞くことで成り立つ部署である。

それ故に単に安いだけの原料を調達すればよいということではない。

品質を見極めて仕入れる必要があり、そのためには現場へ行くのがベストの手法である。

かつて弁護士の中坊公平氏が言った言葉に「現場に神宿る」というのがあるが、購買も同様である。

行動した後の購買の報告書はかくして中身が濃くなる。

良い原料を仕入れるには現場に近づくこと、自分の目で現場を見ることが特に重要である。

購買を指導するときは、行動する購買を目指すよう導いていただきたい。

年末繁忙期対策はできているか。

《製造》年末繁忙期対策はできているか。

いずこの中小企業もわかりきっている年末繁忙期対策が甘いものになっている。

なぜかと言えば日々その日暮らしの追われての製造が日常化しているからそれどころではないというのが本音のところだろうと思う。

どうにかこうにか今日の仕事が無事に終わればやれやれ、明日の仕事は明日考えるとまでは言わないが、先の段取りをする余裕などもともとありはしない。

多くの中小企業では繁忙期対策に言及しても、有効な結論を出さないままに持ち越している。

各部門の会議では会議では年末体制の懸念があるとの意見はあるが、さりとて具体的な対策は取られない。

こういう状態はまさに工場管理が機能していない、クレーム処理、欠品対応、割込調整、製造応援で工場長が席にいることはない。夜8時までに製造日報提出は数名、残りのメンバー2/3は現場、改善する余裕は無く綻びを繕うだけで精一杯の自転車操業状態であると想像できる。

こう言うケースではあちこちに異常値がでる。

例えば異常な残業215.5時間増である。

昨年の製造実績は前年実績、製造予定を上回ってはいるが昨年の3.4倍の残業増加ほどの成果ではない。

そういう矛盾した数値が現場の混乱を映し出すのだ。

このような有様では年末在庫が確保できたとはだれも考えていないだろう。

残業は本来管理者が事前に命令するものであるが、その工場の実態は大きくかけ離れている。

それらの事情を勘案するまでもなく管理が手の内に入っていないことを感じる。

何が問題であり何が足りないのか、どうすれば工場管理を正常化でき年末繁忙期を乗り切れるのかを踏み込んで話し合わなくてはならない。

当然これは当該工場だけの問題としてとらえるのではなく全社の問題として全体最適の視点で取り組まなくては越えられない山であると思う。真剣な議論が必要である。