ベテラン社員が退社。

《製造》ベテラン社員の退社は技術の引継ぎが重要。

製造においてベテラン社員が退社し属人化していた技術を時間をかけてうまく引き継がれるかどうかは、とても重要なことである。

それまで積み重ねてきたノウハウや注意事項を作業手順書にまとめあげ引継ぎがスムースにできるよう体制を構築することが現場管理上求められる。

同時に製造の標準工数を整理し実績工数の比較から適正な製造量を割り出し数値で製造効率を管理していくことである。

特に後を継いだ新人が習熟するまでの数値は見劣りがするかもしれないが同時に
成長の跡も数字で示してやることができるし、目標値も正確に指示することがで
きる。

抽象的な目標でなく数値化された具体的な目標であれば人間は目一杯の能力を出すことができるものである。

人は遠からず入れ替わるのが製造においても営業においても宿命である。

それぞれの努力で積み上げてきた経験やノウハウは簡単に人に引き継げるものではない。

結局は後任人材が自分で努力して身につけていく他ないのが、本当の引継ぎの実
態である。

工場は問題が山積。

《製造》工場には問題が山積している。

製造工場というものはどこを訪問しても見かけ上はうまく運営しているように見えるが、実態はどっこい問題山積なのである。

工場の管理者はそれを放置しているわけではない。

いろいろ取り組んではいるが、事態は改善するどころか、さらなる新しい問題が発覚するなどして、成果として見えてきていないのである。

計画的に製造しようとしても飛び込み業務やトラブル、欠員などが発生し計画を崩してしまう。

その結果あるはずの在庫が底をつき、ついには欠品につながったり、異常な残業増加になったりする。

こうなると悪循環はとどまるところを知らず、繁忙期に向かって転がり落ちるがごとくである。

ある工場では見るに見かねた幹部社員が改善提案を提出した例がある。

製造計画の遅れを指摘しており、これを修復し欠品を削減するには繁忙期に向かう9月から12月までの3か月間派遣社員を2名採用し、年末の繁忙期に対応できる製造を行うというものである。

また製造ラインに専属のオペレーターを付けるという提案である。

何も知らない若手ではなくベテランの幹部社員が年末の繁忙期を憂慮してのことであろうと思う。

幹部社員の捨て身の提案は誤りなのか明らかにすべきである。

あいまいな目算で年末に突入し欠品だらけになれば迷惑をこうむるのは営業だけでなくお客様であり会社の信用失墜につながるのである。

しかし、その工場では改善提案は無視され年末繁忙期に欠品の嵐となった。

横着とルール違反が破損事故。

《製造》慣れからくる横着とルール違反が事故を招く。

ある工場ではフォークリフトの運転中に工場の壁を破損する事故を起こしているが、報告がなされなかった。

事故を軽視していることもあるが、補修費用の稟議をあげることをためらったからに他ならない。

どの工場にもフォークリフトはある。

しかし安全運転のルールを順守しているところは少ない。

ヘルメットもかけてあるだけで着用せずに作業を行っているし、一旦停止もできていない。

こうして見ていくと壁破損事故は運転操作上の問題ではない。

根底に慣れからくる横着とルール違反がある。こういう工場の場合、このルール違反は日常化していたと見るべきである。

ここを見抜き事故になる前に指導するのが管理職の役割である。

始末書で済ませばそれでよいということではない。

事故を起こした本人はその時は反省しているであろうが、時間が経てば元に戻るのが人間である。

くどいようだがヒヤリハット(ハインリッヒの法則)を思い出していただきたい。

労働災害における経験則の一つで、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には 300の異常が存在するというものである。

きっと数多くのヒヤリハットの末に今回の事故が発生していることは間違いない。

工場というものはフォークリフトに限らず、巨大な機械が設置され重大な事故のリスクがある。

よほどリスクを認識したマネジャーでないと危ないのである。

特に経験の浅い管理者が別棟になっている工場を管理しているような場合が危ない。

またさらに経験の浅いメンバーで構成されているとリスクはさらに高まる。

経験不足はそのこと自体がリスクなのである。

工場の管理職は一日の半分を工場の見回りと指導に費やしても足りないくらいである。

事故対策、ルール厳守を今一度見直すことが必要だろう。

計画残業の罪。

《製造》計画的な残業は習慣化して利益を圧迫する。

製造業では残業が日常化すると製造上の稼働率は低水準であるにもかかわらず残業は増加しているということがよく起こる。

残業の中身は様々であると思うが、残業代が生活費化しているケースがある。

実際の事例で2点問題を指摘したい。

まず計画残業と称して残業が恒常的になりつつある工場の例である。

当初計画的な残業は在庫確保に有効な手段となっていた。

計画残業は後手後手残業の無計画による非効率を改善する効果はあるが、長期に継続すると予定の残業となり生活給化する。

繁忙期でもないのに予定の残業が消化されるようになる。時間に合わせて仕事をするようになるのが人間というものなのだ。

今一つは例えば自動充填すべきものを手詰めで対応したという様な非効率な事例である。

工場間の連携が途切れ、製造計画がとん挫すると、無駄な作業が発生するのはどこの工場でも同じことである。

せっかくの仕組みもうまく使わなければ宝の持ち腐れとなる。

この事例で言えば自動充填すべきものを手詰めすることがどれほど非効率か過去に身にしみているはずである。

計画残業とは聞こえがよいが、一つ間違うと生活給稼ぎの予定残業となる。

一度計画残業が生活給化すると、これをやめさせるには骨が折れることになる。残業は基本的に発生させないというマネジメントこそ重要である。

現場を確認し直接指導する。

《製造》製造現場を確認し直接指導が幹部の役割。

比較的管理が行き届いている工場でも内情は甘くないことが往々にしてある。

工場の従業員は年齢や経験、習熟度もさまざまである。

そこへもってきて性格も異なるわけであるから、マネジメントは一筋縄ではいかないところである。

まじめだが気が小さいもの、度胸はあるが横着なもの、ち密なもの、雑な性格のものまで実にさまざまである。

工場での人員配置は性格と能力と熟練度を見て組み合わせて使わなければならない。特に入社後日の浅い従業員には気を使う必要がある。

製造部門の報告などを見ていると、気になる記述としては「新配置担当者のラインへの習熟度がやや不足している。」などと書いてある。

配置しているメンバーは新卒であったり中途採用であったりで経験年数、場数は思ったより少ない。

こういうメンバーは単独で配置することはリスクになる。イレギュラーな場面に適切に対応することを求めるのは無理がある。

大事なことは離れた工場であっても常に報連相を徹底させ、問題発生時は自分で判断させるのではなく即座に携帯で連絡をとり指示を仰がせることである。

状況によっては駆けつけて現場を確認し直接指導することが大事である。

別棟になっているような工場を、情報の離れ小島にしないことが管理職の役割である。

購買の業務の合理化。

《購買》購買業務はいくらでも合理化できる。

購買の業務は手をかければかけるほど手間かかるようになるという面がある。

逆に言うと合理化すればいくらでも短縮できるということでもある。

購買の管理者は業務内容を見直しシステム化することである。

不思議なものでかつては一人で対応していた購買業務が、人が増えても今は2人で
あふれている。

購買に限らずであるが、2人いれば2人分の仕事になる。なぜかと言えば人間のもつ調整機能が仕事を分かち合うからである。

土地の払い下げ手続きなどで公務員に対峙していると仕事のための仕事稼ぎとしか思えない無駄がある。話はそれてしまっているが、3日でできる仕事を3年かけてやっている。

購買に話を戻そう。そういう意味において部下の業務も含めて無駄な作業、重複業務がないかどうか分析し改革することが必要である。

特に購買業務においては定型業務はシステム化し作業分担を見直せば無駄取りができるはずである。

定型業務は必ず自動化できる。

また業務内容と手順、基本的なデータを整理し誰でも理解できるよう整理することが必要である。

どうしても購買業務に限らず人がやることは属人化は避けられない。

購買業務を整理する中で無駄な部分が必ずあぶりだされてくるものである。

発注権限は購買に属する。

《購買》購買の発注権限を明確にする。

購買部は調達責任を任された独立した一部門である。

原料にしても商品にしても、もちろん包装資材にしても同じであるが発注権限は購買に属する。

購買以外のものが発注する弊害は企業にとって大きなリスクに転じる恐れがある。

会社内で勝手発注がもしあるならばただちに改め購買に一元化しなくてはならない。

合意の上で工場発注になっている消耗品等はこの限りではない。

組織としてのお互いの権限と責任を理解し、逸脱行為がないようにすることが重要である。

企業としての統制が取れていると権限の分岐も明確になっているが、中小企業では兼務や人の入れ替わりが激しく、経営者の胸三寸で人事が決まるのでこの辺はあいまいになりがちである。

購買は逸脱行為に対しては毅然とした態度で臨み組織である以上例外を認めないことである。

一方購買には利権が集中しやすいので、長期政権はリスクを伴うと思うべきである。

業務というのは習熟度が重要ではあるが、あえて配置転換を行うのは癒着リスクを低減することが目的である。

金融機関や大手企業が繁く配置転換をおこなうのは、習熟度の向上による生産性よりも、癒着リスクの方が大きいと感じているからに他ならない。

いかに厳正な性格であろうと、購買も人間である。付き合いが長くなる営業とは距離が近くなる。相手の懐に入ってなんぼの営業であるから、お互いに情が生まれる。

コミュニケーションはよくなるが、切るべき時に切れなくなるなど、弊害が出てくる。

くどいようだが経営者という立場であれば、購買(調達)の長期政権は用心すべきである。

欠品情報が招く責任回避。

《製造》欠品情報は諸刃の剣となった。

ある製造メーカーでは多品種小ロット対応を差別化の強みとしていた。

多品種小ロット対応を戦略として目指してきた訳ではなく、顧客の無理を聞いてきて、どうにかこうにかやりくりしてきた結果の多品種小ロットであるから、製造現場がきちんとした製造計画と理論があって運営できているということではない。

従って工場の管理者が変わりでもしようものなら、やりくりに支障が出て欠品の嵐になってしまう。

そもそも製造というものは生産性を考えれば製造ロットをあげようとする考えが支配的になる。

しかし製造ロットが大きくなれば在庫の増加と食品製造などでは賞味期限問題が出てくるので、常に生産性と製造ロットの大きさはトレードオフの関係になる。

慣れない製造管理者は欠品を恐れるあまり、多めに製造しようとしてしまう。その結果在庫が増加し小ロットが排除され欠品につながる。財務的にもキャッシュフローを圧迫する要因になる。

小ロット対応に力を入れれば主力アイテム欠品などと言う許されざる事態を招くことになる。ここに多品種小ロット対応工場の製造管理者の難しさがある。

欠品の情報が見えないと営業も顧客もイライラがつのることになる。

突然の欠品は顧客に甚だしい迷惑をかけ、場合によっては取引停止まで発展することすら考えられる。

そこで同報メール機能を活用して「欠品情報」というサブジェクトで欠品の正確な情報と納品可能な日を案内するシステムをスタートすると欠品情報の情報流はよくなり急ぎ顧客とそうでない顧客との調整も可能になる。

良いことばかりかと思いきや、そういうものでもない。

安易に欠品情報が流れるようになり、欠品の責任が希薄になってしまう。

工場の現場では欠品の重大性の認識が薄れ、仕方がないことという空気が生まれてくる。こうなると多品種小ロットのリスクが露呈し顧客不満足を量産することになる。

そういう工場は会議ごとの報告書に書かれている通り、問題が山積している。

実際の現場では目先の業務に追われて、まるでもがくように、いろいろと取り組んではいるが成果として見えてきてはいない。

相変わらず欠品情報は流れているし残業も増えるばかりである。

工場によれば事態を憂いた中堅社員の改善提案のなかで、製造計画の遅れを指摘しており、これを修復し欠品を削減するには期間限定で派遣社員を2名採用し年末の繁忙期に対応できる製造を行う、というような進言まで出てくるようになる。

何も知らない若手ではない中堅社員が欠品の状況を見るに見かねて、年末の繁忙期を憂慮してのことであろうと思う。

あいまいな目算で年末に突入し欠品だらけになれば、迷惑をこうむるのは営業だけでなくお客様であり会社の信用失墜につながるのである。

多品種小ロットを強みにするというなら企業の戦略として欠品率を制御すべきである。欠品情報の提供が悪いのではなく、製造管理が未熟なだけである。

ヒヤリハットを隠蔽する工場の危機。

《製造》ヒヤリハットはハインリッヒ法則の根幹である。

製造関連部署ではヒヤリハットという言葉を耳にすることがある。

製造現場には大型の機械があったり、回転するもの、高温になるもの、鋭利なものなど見渡せば労災事故につながるリスクがいっぱいである。

いくら用心しても人間は機械ではないので魔が差すということがある。

いつもは気を付けているのに慣れからくる油断があったり、心配事があると注意が散漫になる。

そう言うリスクを前提に機械の安全対策はカバーを付けたり、スイッチを二重化したり、黄色の色分けしたり、あるいはゼブラゾーンを設けたりと工夫を凝らすが事故を完全に防ぐことはできない。

人の行動には思いがけない「まさか」があり、普通では考えられない行動をするときがある。これを分析研究したものが「ハインリッヒの法則」である。

労働災害における経験則の一つで、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものである。この法則はうまくできていて労働災害以外にも当てはまるケースが多い。

ある事例を示すと、工場の報告書の中にフォークリフトによる充填室壁破損事故の記述がある。その事故は運転操作上の問題ではない。根底に慣れからくる横着とルール違反があるというケースである。

事故が起こる時は共通したパターンがあるが、このルール違反は日常化していたと見るべきである。

ここを見抜き事故になる前に指導するのが管理職の役割である。

事故が発生すれば始末書で済ませばそれでよいということではない。

始末書では問題の本質が見えてこない。

原因を人に求めるのではなく仕組みに求めるという視点が重要である。

いわゆる「修正」ではなく「是正」を行わないと同様の事故の再発は防ぐことが出来ないというべきである。

事故を起こした本人は反省しているであろうが、時間が経てば元に戻るのが人間である。まさにヒヤリハットを思い出していただきたいところである。

きっと数多くのヒヤリハットの末に今回の事故が発生していることは疑いようがないところである。

初めにも申し上げたが製造工場には巨大な機械が設置され重大な事故のリスクがある。

よほどリスクを認識したマネジャーが管理して安全策を講じないと危ないのである。

工場によってはは別棟になっている場合がある。経験豊富な工場管理者が常駐せず、さらに経験の浅いメンバーで構成されている。そのこと自体がリスクなのである。

工場の管理職は一日の半分を別棟工場の見回りと指導に費やしても足りないくらいである。

ハインリッヒの法則を再度見直し、ヒヤリハットを把握すること、そして事故対策、ルール厳守を今一度見直していただきたい。

購買業務には全体的視点と合理化の視点が必要!

《購買》購買業務には全体的視点と合理化の視点が必要!

◆利は元にあり

購買に関することわざに『利は元にあり』というのがある。購買こそが利益を生み出す元となるというような意味で使われることが多い。

購買の業務は原料や商品を仕入れるだけではなく、仕入れの工夫をするだけで利益が生まれることもある。

例えば社内で詰め替えていた商品をメーカーに小分重点を指定し直送に切り替えるだけで製造のコストは削減できる。

製造という部署は自分のいやっている作業しか見えない。それゆえに実直に作業はするが無駄な作業に気づくことは難しい。

しかし購買は立場上全体を見渡すことが可能である。しかし現場に足を運ばないと無駄な作業は見えてこない。製造現場が気が付かない無駄な作業が常態化していたとすれば、購買は気が付かなくてはいけない。

部署が違うからというようなセクト的発想は購買にあってはならない。

購買は会社としての最適という視点で物事を考えなくてはならない。

そうでないとうっとうしい交渉を押し付けられたように思うであろう。

◆購買業務の胆は合理化

購買は難しい交渉をまとめるのが仕事である。欲を言えば製造の現場にもう少し興味を持ち、視点を向けるとこれまでと違った角度で無駄を排除し合理化できることが見えてくる。

ある会社の年間700件超の改善提案などを見ているとそういう購買のさじ加減で改革できる合理化案件が山のように見受けられる。

購買担当者が事として見ることができるかどうかがポイントではないだろうか。

◆購買は三方よし

購買には社内的視点のほかに仕入れ先に対する姿勢も求められる。わかりやすいのは近江商人の経営理念である「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考えである。利は元にありと言うけれど三方よしともいう。購買はバランスが大事だということを申し添えよう。